3種類の火で命を吹き込まれた大火災シーン |
『オンリー・ザ・ブレイブ』では5件の山火事が描かれる。アリゾナ州ケーブ・クリーク、アリゾナ州チリカウア連山、アリゾナ州グランド・キャニオン国立公園、アリゾナ州プレスコット郊外で起きたドース火災、そしてプレスコットの南で起きたヤーネルヒル火災である。これらの火災シーンの撮影には、実際の火(撮影用に起こした火)、特殊効果の火、そして視覚効果で作ったCGの火の三種を織り交ぜて使っている。
山火事を可能な限りリアルに撮ることにこだわったコシンスキー監督は、プレプロダクションの期間中、実際の森林消防局の協力を得て野焼きを撮影。山火事防止のために、消防局の職員が意図的に火をつけて林野の密度を下げる作業である。「本作において火は一つのキャラクターだ」と監督は説明する。
「山火事の音は貨物列車や火を吹くドラゴンのようだと聞いたことがある。大きな火災は呼吸をし、その息遣いが聞こえてくる。だからストーリーを語る上でサウンドのデザインが大きな役割を担うことになった」。
「大きな火災に挑むのは、大規模な空中戦をするようなものだ」とプロデューサーのロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラは語る。「あらゆる種類のヘリコプターや飛行機が集まって水や消火剤を投下する。戦闘を指揮するのは本部だ。一方、地上では歩兵隊に相当する男たちが道を拓こうとしている。彼らが行う作業の厳しさや困難が伝わってくる。非常に等身大レベルで火と対峙しているんだ」。