スタジオ裏手に作られた 「巨大な可燃性の森」 |
本作の美術部はサンタフェ撮影所の裏手に約8093.7m²の森を作り、600本以上の松、ネム、トウヒの木を植え、低木や草、岩を配置し、点滴灌漑設備を設置した。森のいたる所に消防管を張り巡らし、スチールウールとステンレスの鋼鉄で追加の草木を作った。山の地面を作るためにトラック数千台分の土とトラック50台分の切り株や丸太、小枝や他の堆積物を運び込んだ。こうして作られた人口の森において、火災の映像や吊り下げを多く必要とするスタントの撮影を行ったほか、低空飛行するC-130 P-2オライオンのターボプロップ式スタント航空機から約1万1356リットルの消火剤を投下するシーンも撮影された。
この森ではタンクに詰めた液体プロパンと缶入りの携帯燃料を用いて火災シーンが生み出された。炎は約9.1~30.5mまで立ち昇り苛烈な熱を発したため、最初に火を前にした時に出演者は思わず逃げ出したと言う。木は実物と鋼鉄で作った物を組み合わせており、鋼鉄製の木に開けられた小さな穴が、液体プロパンを噴出させて爆発を引き起こす分枝管として機能した。本物の木には消火剤を塗り、プロパンを止めれば火がくすぶって鎮火する仕掛けを作った。木の周りの地面にはディーゼル燃料を混ぜたミズゴケを敷きつめ、地面に火が広がるようにした。埃は約3mの巨大な扇風機で特殊効果の煙と共に送った。「埃や土、スス、煙をどんどん送り込んだ。いくらあっても足りないくらいだった」とプロダクション・デザイナーのケヴィン・カヴァナーは語る。
ロケーション撮影の際に、小規模な火の使用を何度も指揮した特殊効果スーパーバイザーのマイク・マイナーダスは、この人口の森で本格的な山火事を作り上げた。使用したのは特殊効果の白煙、花火の黒煙、熱々のプロピレン・グリコールを仕込んだ芝刈り機型の発煙機である。彼の監督の下、スタッフは鋼鉄の木々や茂みに流れるプロパンに着火し、火力を調節した。約1892リットル入りのプロパン・タンクが無数にあり、約9463リットル入りのタンクもいくつかあった。タンクはすべてパイプや可動式のホースにつながっていて、燃料を気体か液体の形で噴出させた。火をつける際には水を満杯に積んだトラックがいつもスタンバイしていた。
野外撮影所の森を作るのには4か月かかった。撮影の中で一番大きな火を燃やしたのは8月である。「出演者に完全なリアリティを体験させた」とマイナーダスは語る。「バイオディーゼル燃料に浸したミズゴケを地面に敷き詰めておき、出演者は燃料ポンプを背負って実際に火をつけた。火はぜんぶ本物さ」。