映画『新章 パリ・オペラ座 ~特別なシーズンの始まり~』公式サイト

 

「エクセレント!」

L'Obs

「ダンスに捧げる感動的な抒情詩」

La vie

「舞台の魔法を魅せてくれる1本」

TT Télérama

「プリシラ・ピザート監督は名人級の手腕でダンサーたちの復帰を撮影した」

Le Figaro

「ダンサーたちの繊細さを描き切った唯一無二のドキュメンタリー」

Ouest France

Introduction

バレエの殿堂パリ・オペラ座に訪れた静寂
ダンサーたちの期待と不安、そして葛藤の日々を見つめる情熱ドキュメンタリー

世界的パンデミック禍、パリ・オペラ座も静寂が支配していた。「1日休めば自分が気づき、2日休めば教師が気づく。3日休めば観客が気づく―」と言われるダンサーたちにとって、1日6~10時間踊っていた日常から突如切り離された日々は、過酷な試練であった。2020年6月15日、3か月の自宅待機を経てレッスンが再開。その再生期間に撮影を許されたのは、これまで多くのドキュメンタリーを手掛けてきた監督プリシラ・ピザート。パリ・オペラ座に特別に許可され、パンデミック禍の閉鎖からの復活の日々を撮影した貴重な映像の数々を収めていく。

マチュー・ガニオ、ユーゴ・マルシャン、ジェルマン・ルーヴェ、アマンディーヌ・アルビッソン等、最高位のエトワールたちの長い休みからの再開のレッスン。それは、ソーシャルディスタンスを取りながら、マスクを着けながらという、かつて経験のない状況下であった。そのような中、新たなシーズン(公演)に向けての厳しい日々が始まる。

“オペラ座の宝”といわれる演目、ヌレエフ振付の超大作『ラ・バヤデール』の年末公演に向け稽古を重ねていくダンサーたち。これまで経験したことのない不安、葛藤、期待を抱きながら、ダンサー、振付指導者、芸術監督が協力し、ひとつの舞台を作り上げていく。しかし、再びの感染拡大に伴い、開幕目前に無観客配信となり、初日が千秋楽となる幻の公演となってしまう。心技体が揃う絶頂期が短く、42歳でバレエ団との契約が終了となる彼らにとって、それは落胆の決断であった。そんな激動の中、新エトワールが誕生。カメラはダンサーたちの心境に寄り添いながら、本番までの特別なシーズンを捉えていく。こうして、芸術の殿堂パリ・オペラ座の新たなる歴史の幕が上がる。

これまで見たことのない、パリ・オペラ座の日々を追った情熱のドキュメンタリーは、バレエのみならず、全てのエンタテインメントの舞台に立つ人々に贈る作品である。

Story

世界的パンデミック禍、パリ・オペラ座も例外なく閉鎖。ダンサーたちは、1日6~10時間踊っていた日常から突如切り離され、過酷な試練と向き合っていた。2020年6月15日、3か月の自宅待機を経てクラスレッスンが再開。かつてない状況下、 最高位のエトワールたちは、“オペラ座の宝”といわれる演目、ヌレエフ振付の超大作「ラ・バヤデール」の年末公演に向け稽古を重ねていく。しかし、再びの感染拡大に伴い、開幕目前に無観客配信となり、初日が千秋楽となる幻の公演となってしまう。心技体が揃う絶頂期が短く、42歳でバレエ団との契約が終了となる彼らにとって、それは落胆の決断であったが、そんな激動の中で新エトワールが誕生する―。

Director

プリシラ・ピザート

ソルボンヌ大学、パリ政治学院で学位を取得後、2001年よりラジオ、テレビで報道のキャリアをスタートさせた。フランスのテレビ局、France5の文化番組「Ubik」、Arteの「Metropolis」で番組プロデューサーを担当。2007年には音楽界の巨匠、指揮者のウィリアム・クリスティを題材にしたドキュメンタリー映画“Baroque Académie”の脚本と共同監督を担当し、FIFA(モントリオール国際芸術映画祭)選出。2015年にはルイ14世の没後300年を記念して上映されたドキュメンタリー映画“Louis XIV, Roi des arts”の脚本と監督を担当し、FIFAに選出。今日までに文学やダンスに関するドキュメンタリーを精力的に制作している。

Director's Interview

350余年前、ルイ14世によって設立されたパリ・オペラ座は、単なる施設ではありません。エッフェル塔やルーブル美術館と同じように、フランス文化の象徴です。そして、そのバレエ団は世界で最も権威のあるバレエカンパニーのひとつです。

パリ・オペラ座バレエの154人のダンサーは、世界中の観客に向けて180回以上の公演を毎年開催してきました。しかし、2020年3月12日、伝統的な公演歌劇場であるガルニエ宮、近代的なオペラ・バスティーユの扉は3か月間閉鎖されたのです。これは、パリ・オペラ座の歴史の中でも唯一無二の瞬間でした。最も厳しい訓練を必要とし、通常1日7時間踊るダンサーにとって、リハーサル・スタジオや観客から遠く離れて過ごす経験は初めてのことでした。

パリ・オペラ座は、特にバレエという独特な芸術形態であるという理由から、フランス国内でも最初に閉鎖された場所のひとつであり、最後に再開される場所でした。そのため、パリ・オペラ座バレエの復帰は、非常に特別で特異な道のりだったのです。ダンサーは、振付指導者とともにリハーサルを繰り返し、舞台に立ち、観客と交流することで成長する素晴らしいアーティストです。彼らはどのようにして長い隔離の後、スタジオと舞台に戻ったのか、そして、どのような身体状態、精神状態だったのか・・・。

本作は、パリ・オペラ座でのレッスンに戻ってきた瞬間から観客との再会までのダンサーに同行することで、パリ・オペラ座バレエの歴史におけるこの特別な瞬間を目撃することを目的として撮影をしました。バレエ団芸術監督のオレリー・デュポンは、クラスとリハーサルの様子から、初日とその舞台裏に至るまでの撮影を許してくれました。そのような瞬間にダンサー達が表現しうる儚さを考えるなら、そのような許可は非常に稀なものです。我々同様、ダンサーたちは我々がこの物語を語り継ぐためにそこにいなければならないことを納得してくれたのです。

バレエの歴史の中で唯一の瞬間を目撃し、スタジオに戻った初日から、パリ・オペラ座の再開、ルドルフ・ヌレエフ版『ラ・バヤデール』のリハーサルから本番まで、そして有観客での再開となった演目『ロミオとジュリエット』までのダンサーたちの姿を追った作品となりました。

私が目指したのは、カンパニーの歴史の中で唯一の瞬間の熱気をとらえ、ダンサーと彼らの芸術、そしてダンサーと観客の間の絆を語り継ぐことでした。そして、劇場やホールという、人々が集い、感動を分かち合い、呼吸を合わせる貴重な場所が、パンデミックの影響を受けていることを、ダンサーの身体、そしてカンパニーの全体を通して証明することなのです。

Opéra National de Paris

パリ・オペラ座

世界三大劇場(フランス・パリ・オペラ座、イタリア・ミラノ スカラ座、アルゼンチン・ブエノスアイレス テアトロ・コロン)のひとつで、パリの中心にあるオペラとバレエを専門とした国立劇場。ガルニエ宮(1875年竣工、設計士シャルル・ガルニエの名前から名づけられた)、オペラ・バスティーユ(1989年竣工)を拠点に公演を開催している。

パリ・オペラ座バレエ

世界最古にして最高峰のバレエの殿堂として知られる。150人以上のダンサーが所属、通常1年に180回以上の公演を開催している。ダンサーには、最高位エトワール(主役のトップダンサー/「星」を意味する)、プルミエ・ダンスール(男性)/プルミエール・ダンスーズ(女性)(準主役級ダンサー)、スジェ(名前がつくような主要な役を踊るダンサー)、コリフェ(群舞の中の主役)、カドリーユ(群舞)と5階級がある。このように徹底的なヒエラルキー制度がパリ・オペラ座バレエの特徴であり、プルミエまでの昇進は毎年行われる昇進試験の結果決定され、エトワールだけは芸術監督によって任命される。

ルドルフ・ヌレエフ

20世紀を代表するバレエダンサー、振付家。1961年に旧ソ連から西欧に亡命、1983年にパリ・オペラ座バレエ団の芸術監督に就任。多くの才能あるダンサーたちを育て、レパートリーを一新、パリ・オペラ座の礎を築く。1993年に54歳で他界。

『ラ・バヤデール』(パリ・オペラ座バレエ シーズン2020)

作曲:
レオン・ミンクス(19世紀のバレエ作曲家/『ドン・キホーテ』、『パキータ』等)

物語:
古代インドが舞台。寺院に仕える舞姫(バヤデール)ニキヤと戦士ソロルは密かに愛し合い結婚を誓う。しかし、ソロルは領主ラジャに、娘ガムザッティとの結婚をすすめられ、ニキヤを裏切り、ガムザッティとの婚約を受け入れる。一方、ニキヤに心を奪われている大僧正が、ラジャにソロルとニキヤの関係を告げ口し、ガムザッティに二人の仲を知られてしまう。そして、ガムザッティの陰謀で、ニキヤは毒蛇に噛まれて絶望のうちに命を落とす。罪悪感にさいなまれ阿片に溺れたソロルは幻影の中、黄泉の国「影の王国」でニキヤとの再会を果たす。(全3幕)

※ヌレエフ版『ラ・バヤデール』は、超高難度の振付として知られる。特に“コール・ド・バレエ”(群舞)は、『白鳥の湖』と並ぶ作品である。

※原振付マリウス・プティパ版は1877年初演。ヌレエフ版は1992年に初演(遺作)。

『ロミオとジュリエット』(パリ・オペラ座バレエ シーズン2020)

作曲:
セルゲイ・プロコフィエフ(ロシアの作曲家、ピアニスト、指揮者/バレエ音楽『シンデレラ』等)

物語:
イタリア・ヴェローナを舞台に、代々対立するモンタギュー家とキャピュレット家。モンタギュー家の一人息子ロミオは、キャピュレット家の一人娘ジュリエットと出会い、二人は恋に落ち、ロレンス修道僧のもと密かに結婚をする。しかし、その直後ロミオは、親友・マキューシオを殺されたことに逆上、キャピュレット夫人の甥ティボルトを殺してしまう。この事件をきっかけに、ロミオは追放され、ロレンス修道僧の提案でジュリエットは仮死状態になる毒薬を使った計画を立てるが、ロミオにうまく伝わらず、二人は命を落としてしまう。ウィリアム・シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」を原作にした悲恋。(全3幕)

チラシ裏面の情報の誤りについてのお詫び

チラシ裏面にて『ロミオとジュリエット』の作曲家をシャルル・グノーと表記しておりますが、正しくはセルゲイ・プロコフィエフとなります。誤情報記載についてお詫び申し上げます。

Étoile

パリ・オペラ座 Opéra National de Paris

アマンディーヌ・アルビッソン

Amandine Albisson

2006年パリ・オペラ座バレエ団に入団。2014年3月の来日ツアーの直前に『オネーギン』のタチヤーナを初役で踊り、エトワールに任命。クラシックから現代作品、ドラマティック・バレエまで踊りこなす。2009年カルポー賞、2013年AROP賞受賞。

リュドミラ・パリエロ

Ludmila Pagliero

チリのサンチャゴ・バレエ団ソリストを経て、2003年パリ・オペラ座バレエ団に入団。その5年後にスジェに上がった頃から、パリのバレエ・ファンの間で将来を期待される存在となる。2010年、プルミエール・ダンスーズに昇格。クラシック作品においてもコンテンポラリー作品においても、そのテクニックは高く評価され、2012年に『ラ・バヤデール』のガムザッティ役でエトワールに任命。

パク・セウン

Sae Eun Park

韓国出身で国立バレエ・アカデミー、国立芸術学校で学び、2007年ローザンヌ国際バレエコンクールで優勝、2010年ヴァルナ国際バレエコンクール金賞受賞、アメリカン・バレエ・シアターを経て2012年パリ・オペラ座バレエ団に正式入団、2013年カルポー賞受賞。同年にコリフェ、2014年にスジェ、2017年にプルミエール・ダンスーズに昇格。2018年ブノワ賞受賞。2021年6月13日、『ロミオとジュリエット』の上演にてジュリエットの大役を披露、エトワールに任命される。

マチュー・ガニオ

Mathieu Ganio

マルセイユで生まれる。両親とも世界的に著名なダンサーであり、母は元パリ・オペラ座エトワールのドミニク・カルフーニ 。2001年パリ・オペラ座バレエ団に入団。2003年スジェに昇進。2004年に『ドン・キホーテ』のバジルを踊り、プルミエ・ダンスールを飛び越して、エトワールへと昇進。両親譲りのスター性と美貌を兼ね備えたダンサー。来日回数も多く、日本にもファンが多い。

ジェルマン・ルーヴェ

Germain Louvet

2011年パリ・オペラ座バレエ団に入団、2013年カルポー賞受賞。2016年12月28日、ジークフリート王子を演じた『白鳥の湖』終演後に、エトワールに任命された。実は2017年1月にはプルミエ・ダンスールに上がることが決定していたが、スジェからの飛び級任命。マチュー・ガニオ以来の快挙。以来、レパートリーを増やし、エトワールとして活躍。

ユーゴ・マルシャン

Hugo Marchand

2011年パリ・オペラ座バレエ団に入団、2015年カルポー賞、AROP賞受賞。2017年3月3日、日本公演『ラ・シルフィード』終演後に、芸術監督オレリー・デュポンからエトワール任命が発表された。エトワール任命は公演終了後に行われるのが恒例となっているが、外国の舞台で行われることは珍しく、日本公演では初とのこと。同年2017年にブノワ賞を受賞。

ポール・マルク

Paul Marque

2014年パリ・オペラ座バレエ団に入団、2016年にコリフェ、同年ヴァルナ国際バレエコンクール金賞受賞、2017年にスジェ、2018年にプルミエ・ダンスールに昇進。2020年12月13日無観客公演『ラ・バヤデール』で“ブロンズ・アイドル”を披露、現役では最年少のエトワールとなる。

オレリー・デュポン(バレエ団芸術監督)

Director of Dance : Aurélie Dupont

1989年パリ・オペラ座バレエ団に入団。1991年にコリフェ、1992年にスジェに昇進し、同年ヴァルナ国際バレエコンクール金賞、1993年AROP賞、1994年カルポー賞、を受賞。1996年にプルミエール・ダンスーズに、1998年『ドン・キホーテ』の舞台後、エトワールとなった。 2015年5月18日公演の『マノン』を最後の舞台として、42歳で現役ダンサーを引退。2016年2月4日、振付家バンジャマン・ミルピエの後任としてパリ・オペラ座バレエ芸術監督に指名され、2016年8月1日から正式に就任。2022年6月16日に、7月31日付での退任が発表された。

Comment

著名人コメントご紹介

(敬称略・順不同)

  • 踊り手のキャリアは儚く短い。

    失われた歳月への焦燥感は、
    世界中の若きダンサーが等しく直面した苦悩だ。

    4世紀以上の歴史を乗り越えてきたバレエを、
    現代の我々はいかにして次世代繋げるのか。

    そのリアルがここに--。

    Bunkamuraオーチャードホール芸術監督
    熊川哲也

  • まさかの無観客公演

    自分への信頼だけを依り処に舞台へ向かうダンサー達。

    世界一豪華なバレエ団の、あまりにも素朴な記録。

    槇村さとる
    (漫画家)

  • コロナ禍の葛藤を経て大作バレエに挑む
    ダンサーの強さと輝き、表現の深化は圧巻。

    歴史的にも貴重な記録だ。

    岡見さえ
    (舞踊評論家)

  • コロナ禍でのエトワールたちの過酷な試練と苦悩の日々!

    彼らの心情を見事に捉えた貴重な映像心が震える・・・!

    有吉京子
    (漫画家『SWAN-白鳥-』『まいあ』)