NEWS | 映画『PARTHENOPE パルテノペ ナポリの宝石』公式サイト

その“美しさ”が愛する人を傷つけた 運命に翻弄されながらも、愛と自由を追い求めたパルテノペ絶景の南イタリア・ナポリを舞台に描く、珠玉の人生讃歌

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ゲイリー・オールドマンのインタビュー映像が公開!

この度、パオロ・ソレンティーノ監督の最新作『パルテノペ ナポリの宝石』より、名優ゲイリー・オールドマンのインタビュー映像が到着!

『ハリー・ポッター』シリーズのシリウス・ブラック役や、アカデミー賞®主演男優賞に輝いた『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(2017)など、悪役から紳士まで幅広い役を演じ数々の作品で圧倒的な存在感を発揮してきたオールドマンが本作で演じるのは、“実在したアメリカの文豪”。フィクションの世界に突如として実在の人物の名で登場し、若年期のパルテノペに人生の大きなヒントを与える重要な役どころと、撮影舞台裏についてオールドマンが明かした。

 

今回、パオロ・ソレンティーノ監督とのお互いのラブコールによって出演が実現したオールドマン。かねてより大ファンだったという巨匠ソレンティーノを、「監督は特別な存在さ。偉大な映画監督の1人だよ」と称賛する。

オールドマンが演じたのは、1950年代を中心に、JD・サリンジャーやアーウィン・ショーらと同時代に活躍し、ピュリッツァー賞も受賞した著名なアメリカ人作家のジョン・チーヴァー。イタリア・ローマに1年間家族とともに暮らしていたチーヴァーはナポリにも数回訪れたことを日記に記しており、彼の大ファンであったソレンティーノ監督が「もしもチーヴァーがイタリアにいた時代にパルテノペに会っていたら」と物語に登場させることを決意。そして同じく大ファンのオールドマンに役をオファーした。オールドマンはチーヴァーの代表作「泳ぐ人」を読んだこともあり、以前からよく知っている人物だったという。しかし、本作では実際のチーヴァーをなぞるのではなく、ソレンティーノ監督が生み出した“ジョン・チーヴァー”を独自のキャラクターとして演じるために、監督との会話や脚本に書かれていることを忠実に再現することに努めたという。オールドマンは自身の役どころについて、「カプリ島にあるアパートで、毎日彼は1人で過ごしている。いつも物悲しげで、酒に溺れているんだ。苦しみを感じないようにね。彼はスランプに陥り、悩んでもいる」と説明。本作に登場するチーヴァーは、アルコール依存症に陥っており、1970年代において自身のセクシュアリティに対する苦悩も相まって、自由を手にすることができずにおり、将来に希望を見出す若きパルテノペとは対照的に存在として描かれる。チーヴァーについて「私も若いころは多くの苦しみを経験し、よく酒を飲んだから、チーヴァーの中から湧き上がってくる感情が理解できた。羞恥心、罪悪感、自己嫌悪、疑心暗鬼......そういったものの全てが、一歩目として酒を飲ませるんだ」と語っており、オールドマンにとって共感できる人物だったという。(なお、オールドマン自身は現在に至るまで27年間禁酒を続けている。)

また本作のストーリーについては、「登場するのは架空の人物たちだが、その時代に生きた実在の人物も登場する。そしてその人物に主人公のパルテノペが出会う。2人は夜の海を行き交う船のようにすれ違い、その瞬間にキスをして別れる」と詩的に表現。

主人公パルテノペと人生を彷徨うチーヴァーはカプリ島で出会い、孤独を感じる2人の魂は共鳴するが、チーヴァーは「あなたの青春を一瞬も奪いたくない」と告げ、ほどなく別れる。このめぐり逢いは束の間の時間であったものの、パルテノペの人生を切り拓いていくことになる。

本作で映画初出演となった、主人公パルテノペを演じるセレステ・ダッラ・ポルタについて「この映画の出演によって彼女の人生がすっかり変わってしまうだろうから、守ってあげたいと思ったよ。私は、彼女をとても大切に思っていて、それは私たちの映画の中での関係と同じさ。私にはキャリアもあり年を取っているが、彼女は完全にまっさらだ。作家になる夢を抱いていたパルテノペが、ずっと年上でキャリアがある人に出会ったようにね。個人的なダイナミズムは、クリエイティブな活動と作用しあうものさ」と劇中と同様に絆を深めたことを明かしている。

各界の著名人から絶賛コメントが到着!

本作を一足はやく鑑賞した各界著名人から、美しい映像と、一人の女性を通して描かれる人生賛歌に魅了された感嘆のコメントが続々と到着!

ISO(ライター)/苅田梨都子(ファッションデザイナー)/清田隆之(文筆家・「桃山商事」代表)/児玉美月(映画批評家)/SYO(物書き)/鈴木涼美(作家)/武田真一(アナウンサー)/松尾諭(俳優)*敬称略・五十音順

数々のドラマや映画に出演し、自身の半生をつづったエッセイ「拾われた男」がドラマ化されるなど、多彩な活動を続ける俳優の松尾諭は「物語が進むにつれ増していく彼女の圧巻の美しさを目撃して欲しい。」とイタリアの新星女優セレステ・ダッラ・ポルタの放つ存在感に魅了されたよう。
日本テレビ「DayDay.」のMCを務め、自身も大のイタリア好きだというアナウンサーの武田真一は「すべてのシーンが光と音で織り込まれた輝くタペストリーのよう」とソレンティーノ監督が紡ぐ映像美の虜に。
著作『ギフテッド』『グレイスレス』が芥川賞候補に選出されるなど、異色の経歴を持つ作家の鈴木涼美は「花火のような若さや美しさを楽しみながらも、ただ美しい女として消費されるだけの人生を是としなかった、聡明な女の一生は、スキャンダラスではないが、けして退屈でもない」とパルテノペの人生の選択に共感した。
さらに、衣食住さまざまな観点からものづくりをしているRITSUKO KARITAのデザイナー苅田梨都子は「夏の日差しと広大な海を前に、サンローランの煌びやかな衣装に目を奪われる」とサンローランのディレクター、アンソニー・ヴァカレロの手掛ける衣装に着目した。

『パルテノペ ナポリの宝石』アザービジュアル公開!

この度、パルテノペの憂いの表情を切り取った魅惑的なアザービジュアルが解禁!

ポスターの全面に押し出されたパルテノペの表情は、嬉しそうだとも悲しそうだとも区別が付かない複雑さを含み、遠くを見つめている。

左上には「最愛の兄を失ったあの夏が、記憶の中で、永遠に輝く――」というコピーが添えられ、鮮やかな空からはナポリに降り注ぐ太陽の輝きを感じるよう。兄を失った“あの夏”に一体何があったのか。彼女のまなざしに想いを馳せてしまう仕上がりとなっている。

本ポスターのデザインを手がけたのは、『パターソン』、『ミッドサマー』、『aftersun/アフターサン』など、数々の映画グラフィックを手掛ける大島依提亜氏。パルテノペの輝きが溢れ出すビジュアルとなっている。

7月29日実施 翻訳家・岡本太郎さん登壇イベントレポート

この度、『パルテノペ ナポリの宝石』Fan's voice最速試写会を実施!
翻訳家・ライターで本作の字幕翻訳も担当した岡本太郎さんに登壇いただき、映画の舞台であるナポリやパオロ・ソレンティーノ監督、キャストたちについて、たっぷり語っていただきました。

まず映画のタイトルにもなっている“パルテノペ”という名前について、岡本は「タイトルのつづりが“PARTHENOPEと”H“が入っているところが、ギリシャ由来であるということですね。イタリア語だと”H“が入らないのです」とギリシャ神話に由来する名前であると言及した。さらに「ただ、イタリア人にしてみれば“パルテノペ”というのは普通、人の名前に使う名詞ではないんです。ナポリの街を指すのがメジャーなので、女性の名前としてはめずらしいんですよ。こういうところがさすがソレンティーノ監督ですよね」とソレンティーノ監督のお茶目さを明かす。

また、本作のパルテノペの女性像について「今までソレンティーノ監督の作品で女性の主人公はいなかったですし、登場する女性の人物像もパルテノペと全く違うタイプでした。それこそ男性目線的な、男性が主体の物語に、男性を魅了したり誘惑する立ち位置として美しくてゴージャスな女性が多く登場してきました。本作でも、パルテノぺが海から上がってくるシーンでは、ギリシャ神話をオマージュしたようで人魚やヴィーナスの誕生を想起させる美しさがありますが、パルテノぺ自身はその美しさに無頓着でつかみどころのないミステリアスな人物として描かれます。パルテノペの若いころを演じたセレステ・ダッラ・ポルタも、老年を演じたイタリアの往年の名女優ステファニア・サンドレッリも、美しくありつつ無邪気な一面があるところが似ていますよね。一方でソレンティーノ監督の描く主人公像には共通点もあります。それは、今までの作品でローマ教皇や首相などすべてを兼ね備えた権力者を主人公に据えてきましたが、本作のパルテノペもまた美しさと優秀な知性を兼ね備えたトップの人物として描かれていることです」と岡本も過去の作品と比べつつ、パルテノペの美しさを重視した物語ではないと共感する。

さらに作中でゲイリー・オールドマンが演じる実在のアメリカ人作家ジョン・チーヴァーの登場について、岡本は「昨年公開されたイタリア映画『チネチッタで会いましょう』にもジョン・チーヴァーが出てきて、その理由をナンニ・モレッティ監督に聞いてみたのですが、イタリア人にとって特別思い入れがあるわけではなく、J・D・サリンジャーの方が有名だそうです(笑)ジョン・チーヴァーの登場は、実際に彼がイタリアに居たからというだけではなく、ソレンティーノ監督の、男性である自分から見た女性観が込められているのではと思います。彼のセリフには、自身の男性的な“醜い”一面からくる美しいものに対するコンプレックスが含まれているんですね。」と話した。

ソレンティーノ監督にとってのナポリについて聞かれた岡本は「ソレンティーノ監督はパルテノペと同じようにナポリで生まれ育ちましたが、なじめずにいたと話しています。本作で描かれるナポリは、自然と街の美しさや人間の醜さが描かれており両極端のコントラストが印象的です。グレタ・クールによるナポリをこき下ろす演説やサン・ジェンナーロ教会の騒ぎのシーンなどは、イタリア映画の中でもナポリならではの出来事だと思います。貧しい育ちのグレタ・クールがナポリに戻ってきたり、パルテノペが最後にナポリに帰ってきて自身とナポリを重ねていますよね。ナポリ人はイタリアの中でも、ナポリに対して愛憎に近い強いしがらみや感情を持っているのです」と一筋縄ではいかない心情に想いを馳せた。そして「ナポリへのトラウマと対峙した作品だったのかはわかりませんが、自伝的な思いはあると思います。ソレンティーノ監督の作品にはトラウマにあたる出来事が必ずあります。本作ではパルテノペの兄の死がそれです。また何より彼は高い美意識を持っていますよね。ナポリの海を力強く美しく映像に収める一方で、ギャングのボスと街を歩く場面でも、貧しい地区にも関わらず美しく撮られている。どうしても審美的な撮り方をしてしまうところと、物語の中にあるトラウマがコントラストになっているのが魅力のひとつだと感じます」と続けた。

またソレンティーノ監督がフェデリコ・フェリーニ監督に強く影響を受けているように感じるという声に対し、「2人とも映像が特徴的で美しいですが、大きな違いもあります。フェリーニ監督は、好奇心が強く、彼自身の世界観・人生観を作り上げつつも、万人に開かれています。また美しさを追求することよりも、自身の映像で遊んでいるような部分があります。一方でソレンティーノ監督はその逆で、基本的に自分の内側の世界を描き出しています。そして審美的な映像を突き詰めているところが特徴的です」と映像の美的感覚の違いに着目した。

最後に「この映画は一度観ただけで理解するのは難しいと思いますので、ぜひ色々調べたり、監督の他の作品と見比べてみたりするとまた違った味わいが出てくると思います。個人的にすごく好きなシーンは、パルテノペがカヌーをこいでナポリの街をめぐっているミュージックビデオのようなシーン。すごくナポリっぽい景色ですし、音楽も素晴らしくて、ソレンティーノ監督の愛情を強く感じました」と笑顔で締めくくり、温かな拍手でイベントは終了した。