200年前に実際に起きた事件を描くにあたって、マイク・リー監督はジャクリーヌ・ライディングという歴史家の協力を得た。彼女の徹底したリサーチによって、すべてが事実に基づいている。たとえば、治安判事たちも全員が実在した人物で、彼らが実際に担当した事件を描いている。コートを盗んだだけで、絞首刑という判決には驚くが、リーは「許し難いが、私が彼らを悪人に仕立て上げたのではなく、事実を描いただけだ」と語る。
また、ジョージ4世についても同じだとリーは説明する。「なぜ、あのように誇張して描いたのか? なぜ彼は化粧をしているのか? と聞かれるが、実際に化粧をしていたからだ。彼は太っていて、わがままな性格だった。最後に、治安判事たちの“平和を維持してくれた功績”に乾杯するシーンも、実際に彼が書いた手紙に基づいている。私たちは単に、それをドラマ化しただけの話で、彼らをわざわざ悪者に仕立てる必要などなかった。事実をありのまま伝えただけだ」
ヘンリー・ハントについても、リーがこう解説する。「非常に急進的な人物で、民衆のために戦った。裕福だったので、資金もあった。演説力に長け、声も大きく、自分が掲げた理想は正しいことだと心から信じていた。しかし、同時に自己アピールが強く、紛れもないエゴイストでもあった。彼に関しても同じで、我々が入手した事実に基づいてそれをドラマ化しただけだ」