奇跡的に見つかった“城”と
すべて手作りの衣装

奇跡的に見つかった“城”と
すべて手作りの衣装

舞台に使われた城には住人はおらず、修復されたこともなかったため、木造部分や寄木張りの床、色彩などが当時のまま残っていた。この城が映画の核となり、美術チームは家具や小道具、備品、木材、生地などの準備に集中することができた。
シアマ監督は衣装デザイナーのドロテ・ギローと、登場人物ごとの衣装作りに重点的に取り組んだ。衣装にそれぞれの特性を反映させるためには、裁断の仕方や生地、特に重さも重要だった。役柄の社会性や、歴史的事実に関わるだけでなく、締め付けられた衣装を着る女優の演技にも影響するからだ。シアマ監督は、「私はマリアンヌの服には、ポケットが必要だと決めていました。彼女の普段の振る舞いを念頭に置いていたからです。さらに、ポケットがこの世紀の終わりには排除され、女性の衣装から消えてしまうことも大きな理由でした。ポケットのモダンなスタイルが好きだったので、蘇らせたかったのです」と語る。