5月29日にTOHOシネマズ 日比谷にて初日舞台挨拶を実施。イベントには、是枝裕和監督をはじめ、W主演を務めた綾瀬はるかと大悟(千鳥)、さらに息子とヒューマノイドの翔役を演じた桒木里夢がカンヌから帰国後そろって登壇した。 この日の舞台挨拶は映画上映後に実施。上映を終えたばかりで、作品の余韻漂う会場内にキャスト、監督らが登壇すると観客からは大きな拍手が。そんな中、階段をのぼる綾瀬を大悟が手を添えてエスコートすると会場からは大きな歓声が。そしてエスコートを終えたばかりの大悟を、なんと桒木がエスコートしてみせるという展開に、会場からはさらなる大きな歓声が沸き起こった。 そんな熱気あふれる会場に向けて綾瀬が「あたたかい拍手で迎えてくださってすごくうれしかったです」と笑顔を見せると、大悟も「今入ってきた時に、皆さんがいつもの大悟を見るのとは違う目で見てくださったのでホッとしております。ここへ来た時に、ワーッて手を叩いて笑われたら終わりだなと思ったんですけど。どうやらそうじゃなかったみたいで良かったです」と安堵の表情。 さらに桒木が「出てくる時から本当に緊張していました。すごく良かったなと思いました」と語り、会場を笑顔に包み込むと、大悟が「(ロボットでなく)人間です」と付け加え、会場を沸かせる。そして最後に是枝監督が「こんな風にたくさんのお客さんの前で初日を迎えることができまして、本当にありがとうございます。いいチームワークで作品作りができたなと改めて実感しております」としみじみと語った。 空間を、あらためて初日を迎えた思いを尋ねられた是枝監督が「映画の企画がスタートしてまだ2年ちょっとという、すごくスピーディーに完成までたどり着いたんですが、とても濃密な2年間でした。クランクインして、お芝居を見ながら台本を直したりとキャストの皆さんも少し戸惑われたこともあったかもしれませんが、その分、自分が感じたこと、考えたことがそのまま作品になっているなと、でき上がったものを見て感じています」としみじみとコメント。綾瀬も「完成披露やカンヌでも温かく観ていただきましたが、いよいよ今日が本番のような感じがしています。皆さんに届けばいいなと、緊張とワクワクを感じています」と続けた。 一方、初主演作でカンヌの地を踏んだ大悟は、およそ9分におよぶスタンディングオベーションを振り返り、「日本であれだけの長い拍手というのは体験したことがないことだったので、嬉しかったんですが、5分を超えるとだんだん、どこまで続くんだろう、これは面白いなと思い始めてしまいました」と笑いながら振り返った。 カンヌ国際映画祭前となる5月11日に行われた完成披露試写会では、「綾瀬さんをエスコートしてみせる」と宣言していた大悟。その結果について質問されると、「見事、エスコートはできました。緊張はありましたけど、ワシは46歳なんで。右手くらいは上げられるんですよ」と回答。綾瀬からは「すごく紳士的に、毎回ちゃんとペコっと手を出していただいて。すごく緊張もする場なのに、とっても安心感があって。大悟さん、ちゃんと手を出してくれて偉いなって思いました」とのコメントが飛び出し、会場内を沸かせた。その言葉に大悟も「帰ってきて何度もこの話になるんですけど、大悟の手が緊張でビシャビシャだったとは言わないでいてくれる。そこがすばらしいですね」と明かし、会場は大笑い。さらに桒木の方を見やり、「今日は里夢に(エスコートを)していただきましたからね」と笑う大悟だった。 また、甲本夫婦の一人息子の姿をしたヒューマノイド・翔を演じた桒木は、なんとカンヌの公式上映日に10歳の誕生日を迎えていた。「誕生日におめでとうと言われて、監督や綾瀬さんや大悟さんから(プレゼントを)いっぱいもらったので嬉しかったな」とカンヌの思い出について明かすと、大悟も「すごいですよね。レッドカーペットの日が誕生日だというんだから。持ってる男ですよ」と感心した様子。そんな彼らと過ごしたカンヌについて是枝監督も「今回はけっこうリラックスしていました。意外と冷静な自分がいて、大悟さんがちゃんとドレスを踏まないといいなとか、そういうところが目に入ってくるんで。そして、レッドカーペットの正面に(バラエティー番組の企画のために相方の)ノブさんがいて。とんでもない衣装とメイクでいらっしゃったんですが、大悟さんからは『無視してくれ』と言われました」と笑いながら振り返った。 この日は終始、和気あいあいとした様子の甲本家のキャスト陣だったが、撮影現場でのコミュニケーションについて質問された綾瀬は「クランクイン前に監督がジェスチャーゲームをして遊ぶ時間を作ってくださって、それで仲良くなりました」と述懐。大悟が「最初に撮影したのが、AIの里夢ではなく、実際の子供だった時の里夢とのシーンだったんですけど、あの後に3人でジェスチャーゲームをやっていて。楽しかったな」と笑いながら振り返ると、桒木も「はい、本当の親子みたいにやっている感じになりました」と楽しそうにコメント。 そんな3人の関係性について是枝監督も「撮影がない時も控え室に戻らず、セットのたまり場で3人が集まっていました。家族がするような、どうでもいいような話をそこでしていて。そのまま撮影に呼ばれるという感じでした。それは意図していたわけではないんですが、すごく作品には反映されたなと思って。しかも綾瀬さんが遊んであげているというよりも、自分が楽しんでいる感じが本当に素敵でした」と振り返ると、3人について「理想的でしたね」と満足げに付け加えた。 さらに綾瀬と大悟の印象を聞かれた桒木が「すごくきれいなお母さんと、かっこよくて社長みたいなお父さん」と答えると、会場は大盛り上がり。「綾瀬さんも大悟さんも、一緒に話したり、遊んでくれたりしたのがすごくうれしくて。そこが好きなところです」と付け加えた。 そんな中、印象に残っているシーンについて質問を受けた大悟が「強いて言えば、綾瀬はるかに膝枕されて照れていない大悟はすごいですよ。あそこでニヤつかないのは相当すごい。ニヤついてなかったでしょ。そこは評価してほしい」と会場に向かって鼻高々に語りかけると、会場からは大きな拍手が。 だが、実はそのシーンの撮影にはちょっとしたハプニングがあったという。「監督が『よーい、スタート!』ってやったら、綾瀬さんが台本の真ん中をすっ飛ばして、最後の方のセリフを言っちゃったんですよ。膝枕のところを早くにやってしまって。『あれ?』と思いながらそのままやっていたんです。あそこで使われているのはNGテイクなんですよ。だからニヤニヤしてなかったのかも」と明かし、会場を沸かせた。その真意について是枝監督からは「綾瀬さんが台本を少しすっ飛ばしたので大悟さんは戸惑っているんですけど。カットがかかるまで綾瀬さんが全然気づかなくて。でもやってみたら、『その方が自然だな』というか、こっちの方が面白いなと思ってそのまま採用しました」と振り返った。 イベントでは、本作のタイトルにも通じる「最近ふとした時に気づいた『大切なもの・大切なこと』」といった質問も。それ対し綾瀬が「人とのつながりです。当たり前のように誰かを思うあたたかみって伝わるじゃないですか。そういうのって大切だなと思います」とコメント。続いて桒木は「愛です」と語して会場は大盛り上がり。当たり前のようにお母さんが洗濯してくれたり、ご飯を作ってくれる家族に向けて感謝の思いを告げる桒木のコメントに、会場は笑顔に包まれた。 そして締めくくりに大悟が「この映画に出させていただいてから、こういう場というか、ちゃんとした式典のような場に行った時に、ちゃんと立つとか手を前にやるということが意外と大事だなと思って。いくらちゃんとしたことを言っていても、こうやって(だらけた格好)していたら変じゃないですか。それを46歳になって気づきました」と明かし、会場を沸かせた。 そんな大盛り上がりのイベントもいよいよ終盤に。最後のコメントを求められた桒木が「最初の日からこんなにファン(観客)ができてホッとしました。応援してくれてありがとうございます」と語ると思わず笑みがこぼれる会場内。さらに大悟も「初日から来ていただいて、皆さんの顔を見ているとよかったなと思います。でも家に帰るまでが試写会なので、気をつけて帰ってください」とメッセージ。さらに綾瀬が「音々の目線、健ちゃんの目線から、目には見えない大切なものが届いていると嬉しいです。皆さんの言葉で、多くの方に届くといいなと思います」とコメントすると、最後に是枝監督が「視点を変えると、二度三度といろんな味わいができる映画になったかなと思います。もし気に入ったら、お友だちを誘っていただいて、里夢くんのファンを増やしていただけたら嬉しいです」と客席に語りかけ、温かな拍手の中、初日の舞台あいさつは幕を閉じた。
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本日5月28日(木)、本作の公式シナリオブックが発売されました。 日本映画では『万引き家族』以来、8年ぶりとなるオリジナル脚本を完全収録した一冊です。 『そして父になる』(2013)でカンヌ国際映画祭審査員賞、『万引き家族』(2018)でパルムドール、『怪物』(2023)でクィア・パルム賞受賞と、世界的に高い評価を受けてきた是枝裕和監督。 そんな是枝監督が、監督・脚本・編集を手がけた最新作『箱の中の羊』(明日5月29日公開)、保存版の珠玉のシナリオブックが登場! 巻頭カラー16ページには、心揺さぶる名場面の数々の場面写真を掲載。 さらに、本書でしか読めない登場人物(音々と健介)の思いや、是枝監督直筆の画コンテ、そして本作のために書き下ろした「『箱の中の羊』が出来るまで」も収録しています。 スクリーンで感じる感動が再び蘇る、保存版の一冊をお手元に。 映画とあわせてぜひお楽しみください。 著者・是枝裕和コメント この本は、撮影と編集を経た後にまとめられた完成台本というゴールです。クランクインの前に書かれた決定稿からは恐らく3割くらいは変わっているかと思います。ですから、そこに至る彷徨を記したあとがきと合わせて読んでいただけると、また面白みが増すかな、とも思っています。楽しんでください。 ■書誌情報 『箱の中の羊』 著者:是枝裕和 定価:2,145円(本体1,950円+税) 発売日:2026年5月28日(木) 判型:四六判 ページ数:248ページ ISBN:978-4-04-811968-9 発行:株式会社KADOKAWA 書誌ページ:https://www.kadokawa.co.jp/product/322602000269/