10月30日(水)に、第32回東京国際映画祭にて『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』を含めた映画『ヒックとドラゴン』シリーズ3作が特別上映され、シリーズ第一作目の『ヒックとドラゴン』上映前に、ディーン・デュボア監督とアニメ映画『プロメア』の脚本の中島かずき氏と対談形式の舞台挨拶、『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』上映後にディーン・デュボア監督によるQ&Aイベントを実施しました!
▼『ヒックとドラゴン』舞台挨拶
観客の皆さんから大歓声で迎えられると、シリーズの原点となる第1作目の上映にデュボア監督は「日本人はアニメに対してのリスペクトが深いし、世界のどの国よりもアニメを愛してきた文化があります。アニメ界で働くもの全員が日本のアニメにインスピレーションを受けてきました。そんな国で私たちにとっての冒険を始めてくれた第1作目を上映できるのは嬉しいです」と満面の笑みでご挨拶。
『プロメア』執筆の際に『ヒックとドラゴン』を意識したという中島かずきさんは、「集団に入ることのできない少年とドラゴンがコミュニケーションを取ることで、お互いに成長していき、その関係性が周囲を変えていく。その様子が上手く丁寧に描かれている。とてもいいジュブナイル」と物語が持つ魅力を熱弁し「『プロメア』をやるときも、『ヒックとドラゴン』のようなジュブナイルをやりたいと思って…。結局全く違うものになりましたがすごく参考にしました(笑)」とデュボア監督に告白。また、最新作『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』を一足先に鑑賞した感想を聞かれると、「シリーズの完結編として素晴らしい完成度。大変面白かったです。ヒックとトゥースがどう成長していくのか…。見事な作品でした」と期待をあおった。
そして、『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』同様に、『プロメア』も第92回アカデミー賞長編アニメ映画部門にエントリーしており、『プロメア』を鑑賞したというデュボア監督は「とても美しく、観ていてワクワクしました。そしてアカデミー賞へのエントリーもおめでとうございます。エントリーされるべくしてされた作品であり、インスピレーションを与えてきた日本のアニメ作品の中に今後加わる名作です」と大絶賛!また、影響を受けたアニメーション作品の話題になるとデュボア監督は『AKIRA』や『パプリカ』、宮崎駿作品を挙げて「『AKIRA』は10代の頃に初めて観て、アニメの勉強をしたいと私にインスピレーションを与えてくれました。そして宮崎駿監督の作品に出会い、その世界観に感嘆すると同時にイノセンスを持ちながらもパワフルな物語に魅了されました。そこで、たとえ若者向けのアニメであっても、大人向けのテーマを扱えることを知りました。アニメという部分で日本は肥沃な土地です」とジャパンアニメにリスペクト。
最後にデュボア監督は『ヒックとドラゴン』の特別上映に向けて「1作目を観ると、シリーズ2、3のテクノロジーの進化が見て取れます。第1作目はシンプルなテクノロジーで作られている分、ピュアな心で作られているともいえます。何か響くものを感じてもらえたら嬉しいです」と思いを込めました。
▼『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』Q&Aイベント
上映後の興奮冷めやらぬ会場にデュボア監督が登壇し、「日本のアニメはいつも我々にインスピレーションを与えてくれます。そして日本人は子供向けのアニメであっても大切に思ってくれるところが好きです」とご挨拶。本シリーズが愛される理由について問われると、「あくまでも個人的な視点ですが、ドラゴンというクリーチャーは、世界中の色々な文化に存在しており、ゆえに親和性の高いものです。そんなドラゴンと人間が仲良くなり、背中に乗って空を飛ぶという願望を叶えてくれる物語だから人気になったのかもしれません。そしてそんなドラゴンがこの世に実際に存在するのではないか?と思わせてくれるリアルなストーリーも世界中の人々に愛される理由かもしれません」と考察。
会場のお客さんより、ヒックの相棒として活躍するドラゴン、ナイト・フューリーのデザインについて質問されると「ドラゴンを造形する場合は、地球上に実在している野生動物を参考にデザインしています。ナイト・フューリーの場合は、世界で最強のドラゴンであり、バイキングに恐れられているイメージを与えたかったので、ブラックパンサーのエレガントさやほ乳類的な部分を参考にし、そして犬や猫のような親しみやすさや、抱きしめたくなるような魅力が出るように大型のネコ科の動物たちの動きと資質を加えてデザインを考えていきました」とクリエイターとしてこだわりを紹介!
また、本作のエンディングについて問われると、「シリーズ2作まではヒックと仲間たちは、ドラゴンとの共生という道を示しました。今作では人間が抱える問題にも触れられると思い、感情的により複雑なラストを提示しました。また主人公のヒックは、自分にはまったく価値がないというところから始まり、最後には聡明で他人のために何かをするという成長を見せます。」と最終章に相応しいラストが期待できる回答を覗かせた。また、「自然は守らなければいけないのに、人間たちは自然を傷つけるということを繰り返しています。そのような描き方には宮崎駿監督の作品から大きなインスピレーションを受けています」と明かしてくれました。
最後にデュボア監督は、日本公開に向けて「ワクワクするし、作品を気に入って楽しんでもらえたら嬉しいです。一人でも多くの日本の方に響くことを願っています。それが作品に携わったスタッフたちのなによりもの喜びだからです」と期待を込めました。
『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』は12月20日全国公開です!