2015.10.23 POSTED

『シーズンズ 2万年の地球旅行』 ジャック・クルーゾ監督 舞台挨拶。

◆日程:10月23日(金)
◆場所:TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン9(旧5)
◆登壇者:ジャック・クルーゾ監督

公開前に一足先に本作を鑑賞しようと会場には多くの観客が詰めかけました。満席の会場に、ジャック・クルーゾ監督は感激の様子をみせると、「こんなに大勢の方にお越しいただけるなんて、とても感動しています。今回この作品が上映されるのは、この場所が初めてのことです。『オーシャンズ』のときも、多くのみなさんに受け入れていただきました。今回も前作同様、熱い想いでみなさんが受け入れてくれることを願っています。」とコメント。

6年前の東京国際映画祭のオープニング作品であった『オーシャンズ』から6年ぶりの映画祭の参加となった本作。クルーゾ監督は、6年前は共に来日したジャック・ぺラン監督の不在について、「彼とは『WATARIDORI』、『オーシャンズ』そして、この『シーズンズ 2万年の地球旅行』と15年ほど一緒に仕事をしています。なので、今日この場に彼がいないことを悲しく思っています。彼もきっとこの場所をシェアできたら幸せだったろうなと思います。」と語ると、司会よりジャック・ぺランからの手紙が読まれました。

以下手紙内容:
「本作のTIFF上映に合わせ、東京に訪れることができず、大変申し訳なく思っております。この機会に皆様にお会いすることを非常に楽しみにしておりました。家庭内の事情によりパリに残らなくてはならず、非常に残念に思っております。共同監督であるジャック・クルーゾ氏が東京に訪問させて頂きます。じゃ本日ご来場いただきました皆様には心より感謝申し上げます。私たちの映画とTIFF2015の成功を祈っております。 ジャック・ペラン」


<MCとのトークセッション>

■本作は動物を通して2万年にわたる自然の歴史を描いていますが、今までにないネイチャードキュメンタリーだと思いました。一体なぜこの作品を作ろうと思ったのでしょうか?また、アイディアはどこから来ているのか?

―これまでに空を飛ぶ鳥類たち、海で泳ぐ海洋生物たちと撮影をしてきて、その後に当然のことながら地上の動物を撮影したいと思ったわけなのですが、それだけでは映画にするには映画にとって不十分だと思いました。それから一年ぐらいかけて構想し、ある日突然、森の住人たちの歴史を、時空を超えて語ろうと考えついたのです。そして、これまでは人間たちの視点からしか描かれてこなかったものを、彼ら動物からの視点で描こうと思ったのです。


■さまざまな動物が出てきますが、特に撮影にあたりこだわった動物はいますか?

―本作には70種類ほどの動物が登場しますが、その中でもオオヤマネコには一番の思い入れがあります。映画の中では、彼らの子供からの成長過程が描かれますが、撮影中は我々に付き添い、俳優として素晴らしい活躍してくれました。これにはぺラン監督も絶賛していました。みなさんにも是非注目して観ていただきたいです。


■作品ごとに最新撮影機材で見たことのない角度での動物の姿を撮影していかれていますが、今作においての最新テクノロジーツールを教えてください。

―いつもぺラン監督と仕事をするときに挑戦していることは、どうやって動きの早い動物たちに寄り添って、生命の躍動感溢れる姿をそのまま撮影できるかということです。今回は、電動式の四輪の安定感のある静穏スクーターを新しく開発しました。この機材により、時には動物たちを先じんて、または寄り添って撮影することができました。


■常に自然と向き合う中で思う通りにならずご苦労されたと思いますが、一番大変だったり過酷だったりするシーンはありますか?

―映画では二万年前の氷河期から描かれるのですが、我々は二万年前に生きていたであろう動物と、似ている動物を探さなければならなかったのです。そこで、我々は極北まで行き、氷河期の原始的な姿を今だに持つジャコウウシを撮影しました。ただし、本作は四季の移り変わりも同時に描いている作品なので、撮影するだけではダメなわけです。自然の環境というものは、いつも我々の思い通りにはいかないわけでから、そのタイミングを待たなければならないという、運に頼っての撮影も行っていました。


■動物の姿を見ているだけで楽しい97分ですが、本作を通して特に強く伝えたいメッセージはございますでしょうか?

―人間と動物たちの共生の時代はとても長く、しかし波乱万丈の日々でした。そのように、動物たちが生きるのに難しい時代を経ていきながらも、まだ野生の世界というものは、この地球上に残っているんだ。決して絶滅してはいないんだということ。そして、子供たちにまだ残っている、野生の世界に新たな眼差しをもってほしいというメッセージを込めました。


■最後に、今後の構想があればお聞かせください。日本も沢山自然が残っていますので是非日本でも撮影してほしいですがいかがでしょうか?

―今までラッキーなことに日本では、鶴や巨大クラゲやムラサキダコを撮影することができました。この作品は、数日前にできた生まれたてホヤホヤの赤ちゃんのようなものです。 なので、次回作はまだ応えられませんが、日本の野生動物については未知なので、チャンスがあったら日本の美しさを撮影することができたらとてもうれしく思います。