2022.05.28 POSTED

第75回カンヌ国際映画祭 エキュメニカル審査員賞受賞!!

現在開催中の第75回カンヌ国際映画祭 「コンペティション部門」に正式出品されています

是枝裕和監督最新作『ベイビー・ブローカー』(6月24日公開)が、

主要部門の授賞式前に発表される独立賞の「エキュメニカル審査員賞」を受賞致しました。

「エキュメニカル審査員賞」は、カンヌ国際映画祭の独立部門のひとつ。

キリスト教関連の国際映画組織「SIGNIS and INTERFILM」の6人の審査員によって、

コンペティション部門出品作の中から選ばれる賞で、「人間の内面を豊かに描いた作品」に与えられます。

1974年から授与されており、昨年のカンヌ国際映画祭では同賞を濱口竜介監督作『ドライブ・マイ・カー』が受賞したことでも注目を集めました。

他には、2000年に『EUREKA』で青山真治監督が、2017年に『光』で河瀬直美監督が受賞を果たしており、日本人監督としては4人目の受賞となります。

受賞にあたり、審査員長は作品について

「この映画は、血のつながりがなくても家族が存在できることをとても親密な方法で示してくれる。

傷ついてきた過去を持つ大人3人(ブローカーの男2人とベイビー・ボックスに赤ん坊を置いた母親1人)と

養護施設から抜け出した子供1人によって、赤ん坊の命と魂は守られる」と評価し、さらに本編後半に登場する彼らによるあるシーンがとても感動的だったことについて触れました。

それを受け、是枝監督は受賞の喜びと共に作品について以下のように語りました。

「有難うございます。今僕が言うことは何もないと思うくらい、僕がこの映画でやりたかったことを伝えていただいたので、短く感謝の言葉を述べて終わりにしたいと思います。

映画の冒頭で捨てられた赤ちゃんと捨てた母親が、子供を売ろうとする男たちと旅に出るという話が、映画の最後間近で、彼ら全員が生まれてきたことを祝福されます。

これは今回映画を作る上で施設で育った子や親元を離れて育った子たちを取材する中で、自分が社会の側、大人の側としてどうしても伝えたい言葉だったので、

普段はやらないくらいはっきりとセリフにしました。その祝福の言葉を聞いた後にちょっとだけ人生が上向きになる、上を向いて生きていけるようになるというか、そんな物語にしたいなと思いました。

最終的には捨てられたひとつの命がもう少し大きな、それは側でみている人もいれば、側に近寄れないので遠巻きにみている人もいるけれども、社会という少し大きな箱の中で見つめられて育てられていくという、そういう話にしました。

今回は本当にこの作品にとってふさわしい賞をいただけたなと思っています。有難うございます。」