7月31日に都内で主演の佐藤浩市さんをはじめ、出演者の片岡鶴太郎さん、山口智子さんが登壇した“大人のお悩み相談会”と題した『春に散る』の特別試写会が開催されました。
この日は片岡さんと山口さんの2人がまず先に登壇。そして片岡さんから呼び込まれる形でスペシャルゲストとして佐藤さんがサプライズ登場しました。この粋な演出に会場は拍手喝采。佐藤さんは「サプライズなのに…横浜流星ではなくてスミマセン」とニヤリとしながら「原作を裏切らないように、そしてどのような要素を加味して実写化していかに楽しんでいただけるかを考えて作った映画です」とアピールしました。
佐藤さんが演じた仁一は人生の後半を迎えた男性。佐藤さんは、実父で俳優の故・三國連太郎さんが『人生の約束』(1986年)に主演した年齢と現在の自分の年齢がほぼ同じだと明かしながら「昭和の時代の60歳過ぎには大人らしさがあったが、自分がその年代になってみると未熟さを感じて情けない部分もある。しかしそれに今だからこそ気づいて、今だからこそ前に進めることもあると思った。そんな思いを仁一に投影した」などと演じた心境を明かしました。
山口さんが演じたのは、仁一のことを古くから知るジムのオーナー・令子。映画出演は『スワロウテイル』(1996年)以来約27年ぶりとなるが「出演しようと思ったベースにあるのは浩市さんラブ!同時に浩市さんには同じ時代に俳優という仕事をしてきて共に戦ってきた同志のような感覚がある。その関係性が令子と仁一との関係性に重なるとも思った。浩市さんラブと同志感を合体させながら、人生をどう生き切るかというテーマにおいて令子としても私の本音としても、浩市さんと時を過ごして語ってみたいと思った」と出演に至るまでの深い想い入れを口に。これに佐藤さんは「僕は智ちゃんの旦那さんのことも知っていますしね!」と照れ笑いも「言葉半分としてもこんなにありがたく嬉しいことはないです」と語りました。
仁一のボクシング仲間・佐瀨健三を演じた片岡さん。自身もプロボクサー経験を持っていることから「ボクシングは暴力ではなくて科学です。ボクシングのパンチは怒りを抑えて科学的により良く相手の弱いところにパンチを打つもの。科学的スキルを鍛えないとできないインテリなスポーツなんです」とボクシングの魅力を解説していました。
また翔吾の強い衝動が大人たちを動かしていく物語にちなんで「若者に強く心を動かされたこと」を聞かれた山口さんは「今回の映画でも若い人たちからは教わることばかりだった。むっちゃ刺激になった。彼らは舞台挨拶の場でも自分の語る言葉を持っていて表現できる知的な大人だった。どうやったらあんな若者が育つのか…」と横浜さんら若い共演者の成熟ぶりにビックリ。佐藤さんは「横浜にしても窪田にしてもストイック。芝居だから…というエクスキューズがないところまでやっている。だからこそ僕らもそれに対して乗っかっていけるものがあった。ボクシングシーンを観た誰もが手に汗を握って前のめりになるはず」と若手世代をリスペクト。一方、片岡さんは共演した橋本環奈さんに触れて「普段の立ち振る舞いを見て、ぶっ太い人だと思った(メンタルが太い人)。撮影終わったらと思ったら、そのまま紅白の司会もそのままやっていて…改めてぶっ太い人だと思った」と語りました。
さらに試写会に参加した観客からのお悩み相談に答える企画も実施。グレイヘアの佐藤さんは「白髪をオシャレに見せる方法」を聞かれると「三國が若い頃から真っ白頭だったので自分もそうなると思った。50歳過ぎたらほぼ白かったが、役柄もあって真っ白はまずかったので黒く染めたりしていた。でも今はこの通り真っ白です」と帽子を脱いで白髪を披露し、山口さんから「すっごいキレイ」と絶賛されていました。
一方、「若い頃より太ってしまった。よいエクササイズを教えて欲しい」というお悩みに、山口さんは「私はエクササイズとかジムが大嫌い」と明かし「私はフラメンコをやっているので脳みそを使うと物凄いエネルギー消費量があることを実感しています。音楽が流れたらリズムや振りを考えて思い切り脳みそを使って同時に楽しく筋肉を使う。むっちゃ頭を使って夢中になれることでドキドキしたり感動したりすればカロリーも消費してスラっとなれるはず」とアドバイス。ヨガの達人として知られる片岡さんは「食欲を上手く調整する方法」を聞かれると「歳を重ねるということは若い時とは違う自分になっているということ。食事も腹七分くらいで抑えれば1時間後くらいにはちょうど良くなる。それに慣れましょう」と実践的な解答を出していました。
“大人のお悩み相談会”ならではの熟したような時間もあっという間に終了。最後に主演の佐藤さんは「ボクシングに興味がなくても、女性の方であっても手に汗握り身を乗り出し、映画を観終わった時には人生についてのいいお土産を持って帰れる。そんな映画になりました」と確かな手応えとともに、劇場公開に向けての期待を高め、大盛況で舞台挨拶は幕を閉じました。