2024.03.25 POSTED

公開記念舞台挨拶実施!

前章の公開記念舞台挨拶が3月23日(土)に都内劇場で行われ、声優を務めた幾田りら、あの、黒川智之アニメーションディレクターが登壇した。

足かけ6年を費やして、ようやく公開を迎えたが、黒川は企画当初をふり返り「企画が立ち上がった当初は、まだ連載が終わってなくて、最後の展開がまだ決まってない状態でのスタートでした。とにかく原作の情報量がものすごくて、アニメの映像にどこまで落とし込めるか? 取捨選択が大変な作品だなと思いつつ、やりがいがあるぞと気合いを入れました」と語る。
原作者の浅野いにおとも話し合いを重ねて製作を進めていったそうで「最初に先生の仕事場にお邪魔して、ご挨拶をさせていただいたんですが、当時のことは緊張し過ぎて何を話したか覚えてなくて…(苦笑)。でも気さくに対応していただきました。その後、シナリオ開発や背景美術、キャラクター開発でも、現場にいろんなご指導やアドバイスをいただきました」と感謝を口にした。

公開記念舞台挨拶実施!

幾田は、アフレコ収録について「声色などはお任せいただいていて、浅野さんも『そのままの声で、自分なりにやってくれたらそれが門出とおんたんになるから、そのままやってください』と仰ってくださいました。その中でもストーリーの流れの中で、どういう背景があって、こういうセリフを言っているかなどを、監督や皆さんにご指導をいただきながら、声をあてていくのはどのシーンもやっていました。ちょっとしたニュアンスなどを微調整しつつ、声だけで全てを表現しなければならないので、皆さんに助けていただきながらのアフレコでした」と述懐。
あのも「以下同文(笑)」と同意し「基本的に自由に任せていただいて、やりやすかったです」と語る。あのにとって、声優初挑戦となったが「右も左もわからず、『大丈夫かな?』という感じだったけれど、自分なりの中川凰蘭を吹き込むという気持ちで、そこは胸を張ってやれるようにしました」と言葉に力を込める。

黒川は「この作品においては、お二方以外はあり得ないと思っていました。それは僕だけでなく浅野先生もそうで、最初の収録の第一声から完成されていた印象でした。それが(収録を)重ねていくにつれてドラマも展開していき、役とお二方の芝居がシンクロしていく瞬間に立ち合えて、奇跡が生まれる瞬間・歴史を見ているような、感動にあふれたアフレコでした」と2人を称賛する。

公開記念舞台挨拶実施!

黒川は特に、前章で小学生時代の門出とおんたんが取っ組み合いのケンカをするシーンに言及。「まず、お2人とも忙しいんですけど、僕のわがままで『ここは一緒に録ってほしい。バラバラだとうまく噛み合わないので』とお願いし、時間を割いていただきました。担当するアニメーターさんも『そういう大事なシーンなら、アフレコの音声を聞いて作画します』と言ってくださり、ものすごく力を入れてくださいました。あそこのお芝居は完全に幾田さんとあのさんの声の芝居から出てきた取っ組み合いで、僕も前章で一番好きな、思いが結実したシーンです」と感慨深げに語り、会場は温かい拍手に包まれた。

幾田はこのシーンについて「お互いに音楽をやっているからか、間合いであったり、殴ったり蹴ったりの中で出てくる(呼吸の)音だったり、2人のコンビネーションが初回から良くできて『さすがだな』と思いました」と充実した表情を見せ、あのちゃんも「この2人だから―相手が幾田さんだからこそいけたと思います。リズムやタイミングが難しいけど、呼吸のフィーリングでうまくいきました。門出とおんたんで表現の仕方が違うので、決めずとも違いがちゃんと出ていて嬉しかった」とうなずく。幾田は「ケンカしてるけど、楽しかった」と生のセッションを楽しんだ様子だった。

公開記念舞台挨拶実施!

この日の前日に放送された「ミュージックステーション」にそろって出演し、 “ano feat. 幾田りら「絶絶絶絶対聖域」”、“幾田りら feat. ano「青春謳歌」”の2曲をTVで初めて披露した。
幾田は前日のパフォーマンスをふり返り「“母艦”がデストラクションしていく演出は本番の一回きりだったので、どうなるのかメチャクチャ不安だったんですけど、曲が始まったらお互いにデストラクション・モードになってやり切りました」と語り、あのも「声優で取っ組み合いとかをやっていたから、(幾田さんが)普段の音楽活動でどういう気持ちでやっているのかとか分からなかったけど、『大丈夫だな』という安心感があって、僕も自由にできました。シャウトが練習でも聴いてないような、さらに“悪”幾田りらが生放送で出てきて(笑)、めちゃくちゃテンションが上がりました」と語る。
幾田は、あのの言葉に「うれしい」と満面の笑み。「昨日、終わって『シャウト、メッチャかっこよかった』ってLINEをくれて、『好きーー!!』ってなりました。『青春謳歌』も、ずっと私は、あのちゃんの声を想像して制作していたので、生声を聞いて、しかも本番でしか出ないエモーショナルなものを聞かせてくれて、泣きそうでした!それくらい、ナチュラルに互いにクリエイティブをぶつけられた生放送で、すごく感動的でした」と熱い思いを吐露した。

公開記念舞台挨拶実施!

そして、映画のキャッチフレーズ「地球がクソやばい!」にちなんで、登壇陣が自身の「○○がクソやばい!」を発表!黒川は「花粉症がクソやばい!」と書かれたフリップを掲げて「今年は本当にやばいです」と語り、これには幾田、あのも「共感の嵐」と同意する。

続いて、幾田の答えは「声の周波数がクソやばい!」とのこと。「歌ったり、しゃべっている声の周波数がKという表示で出てくるんですけど、普通に歌っている人間の周波数は1~2Kで、高い声で張った時も4Kくらいなんです。なぜか、私の歌声は23というはるか先の高いところがビビビっとずっと上がっているらしく(笑)、エンジニアさんも『初めて見た』と。人間にはもはや聞き取れない、動物だったら聞き取れるかもって周波数が出ているらしいです。ボイストレーニングの先生のところに猫ちゃんがいるんですけど、普段、レッスンの時は来ない猫ちゃんが、私が歌っていると入ってきて、隣に並んで一緒に歌ってくれるんです(笑)。もしかしたら、クソやばいのかも…」と明かす。

あのは、この驚きの現象について「猫なんじゃない(笑)?」とツッコミ。幾田も「私、猫なのかな(笑)? 動物には好かれやすいです」と語り、会場は笑いに包まれた。

そして、あのの「クソやばい」は「失くしグセ」とのこと。「去年のクリスマスにはケータイを失くし、ラジオ後に家のカギを失くして入れなくなったり…。最近は、家の中でメガネを失くして1週間くらい探しても見つからなかったんです。テーブルの上にもやしナムルが冷蔵庫に入れ忘れたままずっと置いてあって、『入れたはずなのに…』と思って冷蔵庫を開けたら、メガネが入っていました。メガネともやしナムルを間違えちゃってました。見つかったんでよかったです。キンキンのメガネが(笑)」と明かし、再び会場は爆笑に包まれていた。

公開記念舞台挨拶実施!

舞台挨拶の最後にあのは「初めて声優をしましたが、この何年か、自分の声が『邪魔だな』というか、声への批判が多かったり『気持ち悪い』と言われたりして、かわいそうだなと思っていたんですけど、今回声で選んでいただき、声だけで人の人生、ストーリーを描いていくことに参加することができて、みんなに『声がいいね』と反響をいただいて、初めて声をほめてあげられるなと、僕自身もすごく救われました。こういう機会をいただけて光栄ですし、(初参加の)アニメがこの『デデデデ』でよかったです。胸を張って、みんなに『観てほしい』と言えます。後章を楽しみにしていてください」と呼びかける。

幾田は「アニメ映画は、製作にいろんな人の時間やエネルギーが詰まって出来上がる作品なので、オファーをいただいた時から、大きな責任感の中で『しっかり務めなきゃ』という気持ちで臨ませていただきました。この作品で門出を生きられたことをすごく幸せに思っています。最初こそ、責任感で『大丈夫かな?』という不安もありましたが、たくさんの方に手を差し伸べてもらい、あのちゃんとも協力し合って『デデデデ』の世界を声で演じることができました。後章もめちゃくちゃクソやばい展開になっていますので、皆様の中で熱くなっているものを来月まで盛り上げていただいて、これからも一緒に楽しんでいけたらと思っています」と語り、温かい拍手の中で舞台挨拶は幕を閉じた。