2025.01.21 POSTED

クリス・サンダース監督が来日!
綾瀬はるか、柄本佑、鈴木福、いとうまい子らと登壇!
『野生の島のロズ』日本語吹替版完成披露イベントレポート
監督からの直筆イラストプレゼントにキャスト陣感激‼

サンダース監督、綾瀬らは客席通路を通り、観客の大歓声を浴びながら登壇!サンダース監督は日本語吹替版をこれから初めて鑑賞するファンを前に「ドリームワークスのスタッフと共に精魂を込めて作った作品であり、私のキャリアの中でも、みなさんにお見せできることが、こんなにも嬉しい作品は初めてです。どうぞ楽しみにご覧になってください!」と挨拶。久々の来日ということで「前回の来日から随分と時間が経ってしまいましたが、本当に日本が大好きです。日本の文化、人々の強さ、美しさにずっと敬意を抱いております。特に今回、妻と一緒に来ておりますが、彼女にとっては初めての日本になるので、こうして一緒にくることができて嬉しく思っています」と笑顔で語る。

自身が声を吹き込んだ日本語吹替版を見ての感想を尋ねると、綾瀬は「日本語だと、集中して映像を見られるので、最初に(英語版で)見た時に気づかなかった、(柄本が演じた)チャッカリの小さな手の動きやシッポの動き、表情が見られて、日本語版で一番泣きました」と明かす。

柄本も「最初に全編を英語で見させていただいて、声録りの時も映像はあったんですけど、どちらもモニターはそんなに大きくないので、作品が完成した状態で見て、初めて出会ったような感じでした。毛の質感や、チャッカリの手の動きなど細かい部分がデカいスクリーンだとたくさん見えて、監督のこだわりがたくさん感じられて、劇場で観るべき映画だと実感しました」と言葉に力を込める。

鈴木は「僕も声を入れる前、初めて見た時からファンになって、感動しましたが、日本語になると、さらに自分に深く入ってくる感じがしました。みなさんの声がすごく素敵でキャラクターひとりひとりが愛おしくなって、(日本語版で)世界観がさらに広がった印象でした」と語った。

いとうは「この作品は見終わってからしばらく、なぜかわからないけど心の中でずっと温かいものが続きます! 英語で見ても感動しましたが、日本語で見てより感動しました。映像も素晴らしく、美しいので、そういうところを細かく見てほしいと思います」と呼びかける。

そんな、日本語吹替版キャストにサンダース監督は「これ以上、感服することもこれ以上嬉しい思いになることもないくらい、本当に素晴らしい演技を見せてくださりました! 声をあててくださる過程で、キャラクターに命が吹き込まれ、役者さん個人のスタイルみたいなものがキャラクターたちに吹きこまれていくわけですが、それを見た時、ここにいるみなさん以上に素晴らしいキャストはいないと心から思いました。どんなに感謝の言葉を述べても足りないくらいです。みなさんのアートとお時間をこの作品のために貸してくださって、ありがとうございます」と最大限の称賛と感謝の思いを口にした。

ロボットのロズを演じた綾瀬は「ロズはロボットなので、感情がないんですね。プログラミングされたことしか話さないんですが、ひな鳥と出会って、育てることで愛が芽生えていって、感情が出てきて、母親のような気持ちになっていく。徐々にプログラミングされたことを超えた気持ちになっていくんですが、その使い分け――徐々にロボットが成長し、進化していく姿をどのように演じていくかが一番難しい点であり、いろいろ気をつけてやっていきました」と苦労を振り返る。

キツネのチャッカリを演じた柄本は「名前の通り、ちょっとチャッカリしたところがあり、飄々としたシニカルな目線もあるし、愛を欲しているところもあり、ちゃんと寂しがり屋で、見栄っ張りなところを出せればと思いました」と役に込めた想いを語る。一方で、英語と日本語のワード数や口の動きの違いがある中で「そこを合わせるのはすごく大変で苦労しました」とも。

ロズによって育てられる雁(ガン)のひな・キラリの声を演じた鈴木も「録りながら、雁でありながらロボットっぽいセリフを言わなきゃいけなかったりして、その言葉を短い時間に収めなくてはいけなくて、そこは結構苦労しましたね」とうなずく。

いとうは、子だくさんのオポッサムの母親・ピンクシッポの役で声優に初めて挑戦したが「日本語版の監督に『肝っ玉母さんの感じで』と言われまして、しゃべっていると優しくなってしまうので、できる限り“肝っ玉母さん”を出すように頑張りました」と振り返った。

アニメーション好きの柄本は、これまで数々のディズニーアニメーションにスタッフとして携わり『リロ&スティッチ』、ドリームワークスの『ヒックとドラゴン』の監督、脚本を務めたサンダース監督と対面を果たし、感激の面持ち。舞台袖でもいろいろ質問攻めにしていたようで「先ほど、日本の好きなアニメーションを聞いたら、最近の作品を教えていただいたんですが、今度は影響を受けた作品はあるか聞いてみたいです」と質問! サンダース監督はスタジオジブリの宮崎駿監督の名前を挙げ「自分自身もそうですし、一緒に仕事をする仲間みんな同じ答えだと思います。宮崎駿監督、その中でも特に『となりのトトロ』は常にみんなの一番であると思います」と語る。さらに「本作との関連で言うと、森が出てきますが、宮崎監督が描く森には神秘性、没入感、奥行きがあり、私たちもそこにインスピレーションを受けて森を描きましたが、それをかなえるためにドリームワークス・アニメーションのやり方を全て変えなくてはいけませんでした。キャラクターを含めて、“手描き感”を感じていただける作品になっています。愛してやまない宮崎作品の背景、キャラクターの手描き感をこの作品でも感じてもらえたら嬉しいです」と語った。ちなみに、監督は『ヒックとドラゴン』の公開時に来日した際に、宮崎監督と対面したそうで「彼のアトリエで過ごすことできて、素晴らしい経験をさせてもらいました」とニッコリ。サンダース監督の答えに柄本は思わず「すげぇ!」と漏らし、これから映画を観る観客に「こんなにデカいスクリーンで観られるのはすごく贅沢な経験だと思います。森の表現、毛の質感を楽しんでいただければ……いま『羨ましいな…』と思っています(笑)」と語っていた。

映画にちなんで、吹替キャスト陣に「人生を変えた出会い」を尋ねると、綾瀬は「“人”ですかね…。お仕事の人も友達も、出会うことで自分が本当に好きなものを確認することができたり、この仕事を続けていることもそうですね」と周囲の人々の存在の大きさを口にする。

柄本は「いま演者として出させていただいていますが、将来の夢で映画監督になりたいというのがあって、そのきっかけとなったのが小学校3年生の時に見た『座頭市』です。僕にとっては大変に大きな出会いでした」と自身の“原点”を語る。

鈴木は「僕も本当に人と役との出会いでここまでこられたなっていうふうに思います。あとは、プライベートなことで言うと、野球をやり始めてから、自分もちょっと変わったかなというのはありますね」と明かしてくれた。

いとうは「20代最後のほうにゴールデンレトリバーと出会って、アトムというんですが、アトムのおかげで、地獄をさまようような日々を過ごしていたんですけど、『自分らしく生きていいんだよ」と教えてもらった気がして、人生が変わった瞬間でした」と振り返った。

舞台挨拶の最後に、サンダース監督からサプライズで、監督の手描きによる各キャラクターのイラストがキャスト陣ひとりずつにプレゼントされた。綾瀬は「ビューティフル!」と喜びを表し、柄本は「いま、手汗がすごいので…」と受け取ったイラストを汗で濡らさないように大切に持ち、鈴木も「メチャクチャかわいいです!“To Fuku”って書いてくださっていて大事に飾ります!」、いとうも「涙が出そうです!額に入れて飾ります」と感激していた。サンダース監督は「たまたま近くに紙とペンがあったので(笑)。オークションサイトで売っていただければ少なくともそれぞれ5ドルにはなるかと…」とユーモアたっぷりに語り、会場は笑いと拍手に包まれていた。

最後に、綾瀬は「本当に動物たちの目の動きや手の動きだったり、細かいところまで感情が見えるので、細部まで楽しんでいただけたらと思います」と語り、サンダース監督は「自分のキャリアの中で、製作過程で何度も何度も見ているのに、上映にこっそり入っていってしまった作品はこの作品が初めてです」と誇らしげに作品を送り出し、会場は温かい拍手に包まれた。