2025.10.14 POSTED

第25回高雄映画祭レポート

10月10日(金)に台湾で開幕した第25回高雄映画祭にて『火喰鳥を、喰う』が上映され、主演の水上恒司が現地を訪問!
10日に行われたオープニングセレモニーでは、本作『火喰鳥を、喰う』と『九龍ジェネリックロマンス』という2作の主演映画を携えてレッドカーペットを歩き、翌11日に行われた記者会見、上映前の舞台挨拶、上映後の観客とのQ&Aにも出席し、現地ファンから大きな歓声を浴びた。

記者会見では、本作への出演について、様々な怪奇な事件に遭遇する主人公を演じることで“受け”の芝居を求められることが多くなる点に言及し「この雄司役をやることで、受け身の引き出しを新たに模索する良いチャンスだなと思いました。また、これまでミステリー映画に出るということがなかったので、そこに身を投じて、どういう作品にできるか? ということを楽しみにこの作品に向き合っていきました」とふり返った。また、Q&Aで台湾の観客と直接触れ合えたことが水上にとっても刺激的な経験になったようで、「現代においてSNSというものを介さないと、ファンの方と交わることがなかなかないので、(普段は観客の)意見などを聴くのがそこ(SNS)が主流になっていきます。それが(映画祭では)舞台挨拶やQ&Aで直接、意見、質問、感性や価値観を聴ける。そういう方々の意見を聞いて、それを取り入れて、次の作品や芝居に反映していくという作り方が僕の中ではしっくりくるので、Q & Aというのは僕は好きです」と改めてファンと直接触れ合い、その声に耳を傾けることの重要性と意義を語った。

本編上映後のQ&Aでは、観客から映画のオープニングシーンで登場する白い服の少女や鳥、ノート、そして不気味な笑みにはどんな意味があるのか?あれは現実なのか?それとも幻想なのか?と水上さんの解釈を求める質問が。水上さんは「(答えが)僕の中にも明確にあるわけではないです。明確に説明しなくていい、疑問に思ってもらえる存在やセリフ、アクションをどれだけ残せるかというのは、一役者として目指したいところでもあります。現代は、辻褄が合っている“わかりやすさ”を求められる時代だからこそ、こういうふうに遊びを持ってつくれることは憧れであったりします。僕の中では(オープニングのシーンは)単純に恐ろしさ、畏怖すべき存在です」と自身の考えを明かにした。
続いて、共演した山下のファンだという男性から、夫婦役で共演しての印象や尋ねられると「みなさんから見たら、僕も芸能界の人間かもしれませんが、その僕からしても、山下さんのアイドルとして、アーティストとして生きてこられた人生は、普通じゃないなと思います。ご自身の一挙手一投足、声や表情で目の前の方たちを魅了していくって相当なことだと思います。この映画では長野で生活している人間のところに東京から嫁いできた夕里子とダテさん(宮舘涼太)が演じた北斗のうさん臭さ――あの2人の持つ“異質さ”は、そういう(=アイドル、アーティストとして生きてきた)ところから出ているなと思ったし、すごく役に合っているなと思いました。自分の異質さを順応させようとする夕里子と、目的達成しようとする北斗というのをとても面白く見ていました」と改めて、山下と宮舘の異才ぶりを称賛。
他にも様々な質問に答えた水上は、最後に台湾の観客に感謝の意を述べ温かい拍手の中で舞台挨拶は幕を閉じた。