2025.12.21 POSTED

12月21日(日)開催 COMIC FIESTA 2025レポート 河森監督 スマホが持つ巨大なパワーについて熱弁

12月21日(日)マレーシア・クアラルンプールで開催されていたCOMIC FIESTA 2025にて河森正治監督による「迷宮のしおり」のスペシャルトークイベントと特別上映会が行われました。

河森監督が登場すると会場に集まった約500人の観客から大きな歓声があがると、最初の挨拶では、「最初にマレーシアを訪れたのは30年も前なのですが、本当に近代的になっていますね。そして10年ぶりのアニメイベントの参加だったのですが、来場者の人数も活気もパワーアップしていて驚いたのと嬉しかったです」と語ると再び観客から歓声が沸き起こり、トークイベントがスタート。

はじめにMCから作品の内容について問われると、「SNSがきっかけで自分の心が割れてしまい、スマホの迷宮に閉じ込められてしまった主人公、そして、もう1人の自分が現実世界を乗っ取る。そんな2人のしおりが巻き起こす青春脱出劇」と監督が紹介。

制作のきっかけについては、「今の時代はスマホがないと何もできない、そのスマホが自分の分身だとしたら、どんな物語になるだろうと考えた。スマホは検索履歴、発信履歴、自分が忘れてしまっている発言や写真など、自分が知らない自分がそこにはいる。」と答え、MCからは思わず「名言ですね!」というコメントが。

さらに、「スマホが自分の分身だとしたら、スマホをどこかに置き忘れてしまったら、自分の大事な何かを置き忘れている。スマホがもし割れてしまったら、自分が壊れてしまっているということしれない。」と語る監督に、MCから「ちょうど最近、自分のチームのメンバーのスマホが割れてしまい、テンションも下がっていて仕事ができないからとすぐに新しいスマホを慌てて買いに行ったんです。」という話題に。すると監督は、「迷宮に閉じ込められたかもしれないね」と発言、会場から笑いが起こり和やかなムードに。

「そのくらいこの時代におけるスマホは自分自身とシンクロしているということですね。」とMCは答えつつ、続いて来場者に「スマホを置き忘れたことがある人、スマホが割れたことがある人」を尋ねると、なんと半数以上の来場者から手が挙がりました。

また、主人公のキャラクターについて尋ねられると、「SNS時代、発言は自由にはなっているが、自分が伝えたことが拡大されてしまったり、知らないところから思わぬバッシングがきたりなど、見えないプレッシャーになっているのではないかと思った。スマホの中でイイネが欲しくて、自分を盛ったり、逆に言ったら他人にどう思われるかを考えたりして、本当の自分を表現することが難しい時代になっているのではないか、と考えて、自分を表現することが怖くて閉じ込められた栞と、逆に自分を盛ってどんどんイイネを集めて世界一有名な女子高生へとのし上がっていくSHIORI@REVOLUTIONという2人の主人公が生み出されました。」と河森監督。

キャストについては、「メインキャストは、この作品のテーマである“一歩踏みだす”を表現したいと思い、声優初挑戦の方々を中心にキャスティングしました。逆に迷宮の中の“謎の声”やスタンプの声は世界観に奥行きを出したかったので、ベテラン声優さんの力をおかりしました。」とキャスティングへの想いを語ります。

そして次のコーナーでは、公開前の「迷宮のしおり」ハイライトシーンの公開が行われました。

ハイライト①「ラビリンスの世界で栞がたくさんのスタンプ達に追いかけられるシーン」

ハイライト②「ラビリンスの世界の地下鉄内で唯一現実世界と繋がっているスマホで、もう1人の自分と会話をするシーン」

マレーシアではLINEスタンプはあまり使わないけど、WHATUPというアプリでみんなスタンプを使っているとMCが説明すると、河森監督は「少しでも誤魔化したい感情とか会話はスタンプで隠して発信することもあるのではないか?と思って、迷宮は野良スタンプがたくさんいる世界観にしました。」「異世界での自分の不安を表現するのとゲート的な意味合いで薄暗い地下鉄のシーンにしました。現実世界と繋がっているスマホから、もう1人の自分が現実世界を乗っ取ったことがわかる重要なシーンなので暗い地下鉄と現実の明るい対比を表現したいと思いました。」「ラビリンスの世界でどんどん下に落ちていくのは深層心理学の構造を参考にしています。」とそれぞれのシーンについて演出意図などを語ります。

そして、最後のハイライト③の「メカアクションシーン」が流れると同じ映画だと思わない大迫力のアクションシーンに会場が一気に湧き上がりました。

「ロボットやメカアクションを入れたのは、単にコラボレーションということではなく、自分の中ではスマホは超時空デバイスだと思っているんです。時間と空間を超えて誰とでも繋がることができる。1人で何万人、何千人の人にも発信することができる。地球の反対側の人を励ますこともできるし、逆に自分が何万人、何千万人の人から攻撃を受けることもある。なので、人間の能力拡張装置だと考えた時に、機能だけみたら、現代人は手のひらにスーパーロボットを持っているといっても過言ではないのではないか、と思った訳です。スマホの拡張コミュニケーションとスーパーロボットの人間能力拡張装置は機能としてはすごく似ていると思っている」という監督の言葉を最後まで聞いたMCは、大きく頷き、観客も集中して耳を傾けていました。

終始、トークは盛り上がり、最後は来場者の皆さんもスマホを掲げ、一緒に写真撮影をしてイベントは大盛況ののち、終了いたしました。