2018.06.22 POSTED

『グッバイ・ゴダール!』フランス映画祭でトークショーを実施致しました!

この度、フランス映画祭2018にて『グッバイ・ゴダール!』が公式上映され、上映後にトークショーを実施いたしました!
登壇者は、フランスの映画研究の第一人者であり、カイエ・デュ・シネマの映画評論家・ジャーナリストという経歴を持つセルジュ・トゥビアナ氏(ユニフランス会長/映画評論家)。東京国際映画祭プログラミング・ディレクターの矢田部吉彦氏をMCに迎え、本作にちなみアンヌ・ヴィアゼムスキーやゴダール、またミシェル・アザナヴィシウス監督について、そのほか昨今のフランス映画について語っていただきました!

セルジュ・トゥビアナ氏(ユニフランス会長/映画評論家)
セルジュ・トゥビアナ氏(ユニフランス会長/映画評論家)

上映終了後、登壇したトゥビアナ氏が「皆様の前に来られたことを嬉しく思います」と観客にご挨拶し、トークショーはスタート。まず、ゴダールとの出会いについて聞かれると、「1965年に『気狂いピエロ』を見たのがゴダール作品との出会いです。当時私は16歳だったのですが、この映画がきっかけで、すっかり映画ファンになったわけです。ですからゴダールやトリュフォーには私を映画の世界に引き込んでくれた、芸術的な、そして精神的な借りがあると思います。」とゴダール作品との出会いを明かしました。「その後、カイエ・デュ・シネマという雑誌で映画評論を書くようになりました。ヌーヴェルヴァーグの映画について論じる雑誌だったのですが。雑誌にはゴダールやトリュフォーといった、いわゆる60年代を代表するフランスのヌーヴェルヴァーグの監督たちが、映画評論家として参加してくれていました。そして1970年代後半に当時グルノーブルに住んでいたゴダールに会いに行きました。私にとってとても重要な時間でした。ただ、2時間ゴダールと話したけれど、その間彼が何を言っているのかさっぱりわかりませんでした。(笑)」とゴダールとの出会いを振り返った。それに対し矢田部氏は「トリュフォーとゴダールに実際会った方とご一緒できるなんて興奮しますね」と興奮した様子。

東京国際映画祭プログラミング・ディレクターの矢田部吉彦氏
東京国際映画祭プログラミング・ディレクターの矢田部吉彦氏

本作の原作小説の作者であり、女優でもあったアンヌ・ヴィアゼムスキーについて話が移ると、「彼女に最初に女優として注目したのがロベール・ブレッソンだったんです。『バルタザールどこへ行く』がアンヌが女優としてデビューした作品でした。カイエ・デュ・シネマのメンバーはみんなブレッソンのファンだったので、ゴダールもそのセットを訪ねたんです。そこで、当時18歳のアンヌにゴダールが注目し、その後口説いたわけですね。こうしてゴダールは彼女に『中国女』の出演をオファーしたのです。」と、ゴダールとアンヌの出会いを明かした。さらに、ゴダールにインスピレーションを与えた女性として、60年代の『女は女である』、『気狂いピエロ』などのアンナ・カリーナ時代、その後のアンヌ・ヴィアゼムスキーとの時代、そして、72年ごろから現在までのパートナー、アンヌ=マリー・ミエヴィルの時代という3つの時代があることを説明し、「(アンヌ・ヴィアゼムスキーは)画家にとってのミューズのような存在でした。短い付き合いでしたが、五月革命の時期とも重なり、濃い2年間だったのです」とゴダールにとってアンヌが重要な存在だったことを明かした。

『グッバイ・ゴダール!』フランス映画祭でトークショーを実施致しました!

『グッバイ・ゴダール!』にも重要な出来事として登場し、今年が50周年のアニバーサリーイヤーである五月革命について聞かれると、「私は50周年を祝う風潮はあまり好きではありません。」と前置きした上で、「多くの間違いも犯しましたが、私の青春時代であり、思い出であることは間違いありません。なにか世の中を良くしよう、変えようと若い人たちは思っていました。」と当時を振り返った。さらに「2018年の今、もちろん世の中は良くなった面もあります。ただ、当時のように自分たちで社会を変えられるという実感はなくなり、どこか上から支配されているような気がします。社会が68年当時はひとつになっていたけども、今は分断されてしまったような気がします。『グッバイ・ゴダール!』では幻想を抱きながらも団結していった当時の若者たちが描かれています」と当時を振り返りながら、『グッバイ・ゴダール!』の魅力を存分に語って頂きました。

『グッバイ・ゴダール!』は7月13日より全国順次公開です!