ドニーとニコラス、静と動の対決

ドニーとニコラスは長い間共演していなかった。ニコラスは、「ベニーからドニーとの共演になると聞いて、この機会がどれだけ貴重か気付いた。僕が“香港のアクション・フレバーが弾ける一対一の闘い”と呼ぶ映画が香港で目にされてから、本当に長い時が経ってしまった。今回、ドニーと一緒に仕事をして、お互いに成熟したと感じたね。もちろん、一番印象に残っているのは最後の闘いのシーンで、あれはとんでもなく時間がかかった。まるで一つの長いケージマッチのようで、僕らは2週間近くも撮影していたね」
ニコラスは、他にも印象的なシーンがあったと付け加える。「地下墓場でのシーンもそのひとつだけれど、尋問のシーンは特に忘れられない。あのシーンは、何もないシンプルな部屋が舞台だ。ああいった演技対決は、何よりも迫力があるね」
ドニーは、「本作では、動的な対決と静的な対決の両方が描かれていて、それが面白い。静かな対決で印象的だったのは、法廷のシーンだ。チョンはかつての仲間のンゴウを見つめながら、毅然として真実と正義を追求している。その一方で、自分がした選択を、ンゴウが静かに冷たく見つめ返しているのを感じる。この二人の間に生まれる感情を、観客に理解してもらえるように作り上げた。そうすることで、僕とニコラスが激しく闘っているシーンに、より没入して楽しんでもらえると思う」と語る。
ドニーとニコラスの共演は、映画の中だけでは終わらなかった。ニコラスが説明する。「ベニーからこの映画の主題歌を書いてくれと依頼され(作曲はニコラス、作詞はジーン・ラウ)、ドニーにミュージックビデオに出演してピアノを弾くように頼んだんだ。彼はすぐに『いいよ』と言ってくれた! 僕はギターを、ドニーはピアノを弾いて、ドニーはソロまで覚えないとならなかった。結局、チョンとンゴウは、スクリーンの中でも外でも、腕力、頭脳、芸術、パフォーマンスで闘った」