Young, Gifted And Black

地位や名誉を手に入れたアレサを待っていたのは、詰め込まれたツアーをこなすばかりの日々。自由もなく、消費され続けることに嫌気がさしたアレサは――。

1970年8月に録音され、1972年に発表した同名アルバムに収録された黒人讃歌。“ブラック・イズ・ビューティフル”が叫ばれた時代の空気を切り取ってニーナ・シモンが歌った曲のカバーで、シングルは未発売だが、アレサの人種的、社会的スタンスを明確にした意義深い一曲だ。これを歌った背景には、黒人/女性解放運動の闘士として活躍しながら不当に収監されたアンジェラ・デイヴィスへの思いがあったとされる。ジェリー・ウェクスラーは完璧なニーナの歌を聴いてアレサがカバーすることに難色を示したが、オルガンで参加したビリー・プレストンの一声もあって録音を決行。ピアノはアレサで、コーラスはスウィート・インスピレーションズが担当。