描きたかったのは、
「世界一の歌声を持ちながら、
その声が何かをまだ知らない女性の物語。」

アレサ・フランクリンのキャリアにおける最後の13年 間、彼女と一緒に音楽に取り組んできた音楽プロデューサーのハーヴィー・メイソン・Jrは、本作プロデューサーのスコット・バーンスタインとアレサについての映画を企画し、「ただの伝記映画ではなく、一人の人間の一生よりも、もっと大切な何かを描きたい」と話し合った。メイソンとバーンスタインはアレサに電話をかけ、「約3時間、彼女の物語がどんなものになるかを話した。それが4年にわたる旅の始まりだった」と振り返る。

メイソンはどうしてもアレサの映画を作りたかった理由を、「彼女の声の裏側には、たくさんの歴史と物語がある。アレサのことを知れば知るほど、彼女の物語を人々に知ってもらうべきだと考えた。今のような時代にこそ、貴重で感動的な物語だ」と説明する。

監督を務めることになったリーズル・トミーは、「どうやってスターが生まれるのか、その旅路はどのようなものか、いつも興味を持っている。アレサが子供の頃から、天才的な音楽家だと言われていたことは知っていたけれど、デビューから数年、コロンビア・レコードから出したアルバムは、どれもヒットしていない。世界で最も素晴らしい歌声を持ちながら、その声が何であるかをまだ知らない女性の話を語りたいと思ったの」と振り返る。

製作陣の話し合いの結果、アレサの幼少期と、60~70年代にフォーカスすることが決まった。アレサの姪であるサブリナ・ギャレット・オーウェンズは、「彼らが選んだのは本当に良い時期よ」と賛同する。「アレサは素晴らしい人生を送り、約50年も歌い続けた。彼女の物語を2時間で語るのが不可能なことは誰もがわかっている。だからこそ、ある特定の時代に焦点を当て、その瞬間を捉える必要がある。彼女が最高の状態にあった60年代と70年代は、彼女の人生の中で最もドラマティックで非常に重要な時期だと思う」