アレサ・フランクリン役は、アレサ本人からジェニファー・ハドソンにオファーされた。ジェニファーはアレサとの出会いについて、こう振り返る。「2004年4月に『アメリカン・アイドル』から7位で脱落した後、アレサがインディアナ州のメリービルでショーを行っていると知って、彼女の前座を務めたいと思ったの。アレサは歌手の前座を許さず、コメディアンと回っていることは周知の事実だったけれど、彼女は私の前座を認めてくれた。それは彼女と共有した多くの瞬間と同様に、夢のようなことだった」
その後、ジェニファーは『ドリームガールズ』で喝采を浴びたが、「私には夢があった。あんな大役の後に?と言う人もいたけれど、私はそれに勝るものはアレサ・フランクリンを演じることだけだと答えたの」と語る。「私がオスカーを受賞した直後、アレサは私に会いたがっていた。ニューヨークにいた時、15年以上も前のことね。私たちは本当に長い間、じっくりと私が彼女を演じることについて話したの。彼女は私がとても控えめだと言い、『あなたは恥ずかしがり屋なの?』と聞いてきた。『私の目の前の話し相手は、アレサ・フランクリンさんなんですよ!』と答えたのを覚えているわ。『ドリームガールズ』を観て、私が若き日のアレサを彷彿とさせると言う人がいた。今となっては、運命的なものだったのかもしれない」
アレサの姪のオーウェンズは、ジェニファーの起用を心から喜び、「アレサがジェニファーを選んだのは、自分と共通点があったからよ。二人とも教会で育ったから、声にゴスペルのサウンドがあり、広い声域を持っている」と指摘する。
トミー監督は、「アレサはジェニファーの才能をわかっていた。いつの時代にも通用する、素晴らしい歌声を持つ人物に演じてほしかったのだと思う。ジェニファーには並外れた感情表現力があり、彼女の目を見ながら話を聴いていると、アレサがなぜ彼女を選んだのかがわかる」と語る。