プロダクションデザイナーのアイナ・メイヒューは、「50年代から70年代前半が舞台と知って、当時のデザインの転換点とスタイルを延々とリサーチしたの。アレサの幼少期の家を調べると、小さなモノクロ写真が1枚だけあったけれど、その家がどのような感じだったのかを読み取るのは困難だった。父親のオフィスの壁紙の質感はわかったので、それを再現するのは楽しかったわ。当時の雰囲気を感じてもらいつつも、色あせた感じにはしたくなかった。特に家具については、骨組は見つかったものの、多くのものは朽ち果てていた。そこで、当時使われていた素材を探してきて、すべて張り替えた」と説明する。
大胆でドラマティックなステージ衣装は、ソウルの女王のストーリーを語る上で重要だ。アレサのアルバムカバー、パフォーマンス、そして公の場で見せる姿は、流行を作り出していた。アレサの外見は時と共に進化し、アーティストや著名人としての彼女自身の成長と発展を反映しているだけでなく、時代の表れでもある。衣装デザイナーのクリント・ラモスは、「資料を読んで一人の女性としてアレサを理解してから、見つけられる限りの彼女の画像を探した。ジェニファーには、普段着からかなり親密な場で着る物、そして華麗なコンサートドレスまで、およそ85着の衣装を用意した。最も難しかったのは、人間国宝でもある芸能人と一人の人間としての彼女の姿のバランスをとることだった」と語る。
ジェニファーは、「なぜ彼女がこの衣装を着て女王になったのかがわかった。衣装から彼女の人となり、個性を知ることができた。クリントのデザインは、それ自体がひとつのキャラクターのようだった」と称賛する。