ドランは『トム・アット・ザ・ファーム』の音楽を作曲したガブリエル・ヤレドと再びタッグを組んだ。前作では直接会うことがなかったが、ドランは本作では「お互いにもっと物理的に会って関わっていくべきだと感じていた」と語る。
撮影が始まる数ヶ月前、ヤレドが送ってきたワルツを聞いた瞬間、ドランはすぐにその曲を最後のシーンで使いたいと思ったという。「すべての描きたい感情が見えたんだ。他人の言葉に耳を傾けることができない人や、将来に起こることが予期できない人の無力さ、そして本来当たり前のようにある足元の地盤が思いも寄らず崩れ落ちた時の気持ちだ。」
そして撮影後、ロサンゼルスで編集作業をしていたドランのもとにヤレドがやって来た。ヤレドの滞在はたった6日間だったが、ドランは編集したばかりの新しいシーンを音楽で彩るヤレドを見守った。「たくさん話をしたし、エキサイティングな時間を過ごし、あらゆることに感動した。はしゃいだし、もちろん停滞することもあった。パラマウントの近くにある可愛いレストランでいつも同じタリアテーレ・ボロネーゼを食べて、長い散歩をして、ボードゲームで遊んだ」とドランは回想する。