20歳の時に立てた
誓いから生まれた作品

エリック・トレダノ監督は、「本作は20歳の時に立てた誓いの結晶だ」と語る。1994年、トレダノと相棒のオリヴィエ・ナカシュ監督は、自閉症の子供たちや思春期の若者たちが社会へうまく馴染めるように支援する団体「Le Silence des Justes」の創始者、ステファン・ベナムに出会う。「僕らは、ステファンや彼の仲間たちから湧き出る活力や、にじみ出る人間らしさに深く感動した」と、トレダノは振り返る。
それからしばらくして、ステファンが運営資金を集めるために、自分の団体を紹介する6分程度の映画を作ろうとしていると知ったトレダノとナカシュは、彼に協力するために小さなカメラを持ってサソ=ドニへ向かう。そこで働く若い教師、ダーウド・タトゥに出会った二人は、彼らに関する長編映画を撮りたいと願うが、まだ映画作りに取り掛かったばかりの新人だった二人に、必要な資金はなかった。しかし、その後も彼らとの親交は続き、いつか彼らの映画を作るという誓いを、二人が忘れたことはなかった。
その後、Canal+ から26分番組制作を依頼されたトレダノとナカシュは、ステファンとダーウドが取締役を務める団体「Le Relais IDF」についてのドキュメンタリーを作る。同じく自閉症の若者たちを支援する団体だが、同時に恵まれない若者たちの指導や就職への支援も行っている。さらに2000年から、映画製作の話が前進。ナカシュは、「僕らのハンディキャップや、ノーマライゼーションに対する関心は強くなっていった。そこから、『最強のふたり』も生まれた」と振り返る。