このプロジェクトで、グァダニーノはダミアン・ジャレというフランス系ベルギー人のダンサー兼振付師と出会うことになった。ダミアンは、イギリスでローレンス・オリヴィエ賞を受賞したコンテンポラリー・ダンス公演『バベル』の振付師のひとりだ。彼はアルジェント監督のオリジナル版の大ファンでもあった。ジャレは『サスペリア』をリメイクすることに最初は疑問を感じていた。「でも、監督にはしっかりしたビジョンがあって、アルジェントの映画ととても個人的で深いつながりがあることも知った。僕はすぐ、彼と話して納得がいったよ。監督のやり方で僕が大好きなところは、一度慎重に協力者を選んだら、そのあとは完全に相手を信頼するところ。自分のやっていることに、自信を持たせてくれるんだ」ジャレは、オーディション中にスージーが伝統的なバレエシューズを脱ぐことを提案した。「それは脚本には書かれていなかったけど、僕たちは直接、足が床に触れることでもっと官能的で原始的なものが彼女の動きに加わるだろうと思ったんだ」マダム・ブランのダンスを創造したとき、ジャレはマリー・ヴィグマンやピナ・バウシュのようなダンスのアイコンに敬意を表した。「僕は、彼女たちの作品をそのままコピーしたり、再現するだけにはしたくなかった。考えていたのは、彼女たちの作品に生命を吹き込んだひらめきの源、彼女たちがひらめきを受けた文化や自然の原理ともっと繋がることだったんだ」