グァダニーノ監督はこれまでの映画では既存の音楽を使うことが多かったため、最初はオリジナル曲を作曲家と作ることには消極的だった。それに誰が曲を作るにしても、アルジェンドのオリジナル映画の伝説的なサウンドトラックを提供したプログレッシブロック・バンド、ゴブリンと比べられることがわかっていた。しかし、グァダニーノは最終的にオリジナル音楽が必要だと確信した。「この映画には恐怖、悪、人間性を表現する特別なエネルギーが求められる。同時に強い現代性を持っている音楽が必要だったんだ」そうした音楽を求めて、グァダニーノはトム・ヨークに接近した。彼は、自身のバンド、レディオヘッドで高い評価を得たアルバムを何作も発表している。『サスペリア』はヨークにとって、初めての映画音楽担当作品である。「トムの音楽は深い洞察力と共感性に満ちている。彼が常に探求を怠らないから彼の声は我々の世代に響くんだ」と、グァダニーノは語る。「それに、彼の音楽には容赦なく心を掻き乱す力がある。私は、彼なら僕の映画のためにまったく妥協しないで音楽を作ってくれるとわかっていた」ヨークはこのプロジェクトのために全身全霊を捧げ、映画の撮影が始まる前、スタッフに音楽の一部分を送った。「それは、本当に素晴らしかった」と、グァダニーノは言う。「ヨークの音楽は、私やキャスト、スタッフたちがまさに求めていたものだった。どれだけ本作の助けになったかわからないよ」