完成した脚本は、出会った時は16歳だった4人の登場人物が大人になり、時間が彼らの友情をどのように変化させるかを追いかける物語になった。4人のキャラクターについて、ムッチーノ監督は、「それぞれの中に、私がたくさんいます。映画の中のあまり積極的でないキャラクターにも、少しだけ私がいるのです。私はどこにでもいて、すべての人を知っています」と語る。
ピエルフランチェスコ・ファヴィーノが演じる著名な弁護士ジュリオは、少年時代は貧困の中で育ち、社会的に排除されることを恐れていた。人間関係の必要性を必死に模索する姿に、多くの人が自分を重ね合わせるだろう。
クラウディオ・サンタマリアが演じる、映画評論家を志しながら、無一文の夢想家の人生を送ることになった平凡な芸術家リッカルドのキャラクターについてムッチーノ監督は、「彼は政治的な動きを追いかけ、自分の信念を肯定するには正直であれば十分だと考える、私たちの“失われた世代”を象徴しています。抑圧された意見を表明しようと、デモに参加する世代のことでもあります」と解説する。
キム・ロッシ・スチュアートが演じるパオロのキャラクターは、もっと落ち着いていて平和主義者だ。いまだに母親と同居し、女性たちに主導権を握られている。彼は被害者意識から解放され、身近な人の承認に依存するのをやめ、自己主張の強い人生観を持つことで、充実感を得るようになる。
ミカエラ・ラマツォッティが演じるジェンマは、友人の笑顔や視線がほしくて、自分自身を抑えることで元気を取り戻そうとする女性だ。ムッチーノ監督は、「彼女はずっと好きだった男のもとに戻ります。彼が自分の帰るべき家を象徴しているからです。人間には欠点が多いので、人生の壁にぶつかっていくアンチヒーローを描く方が面白かったです」と説明する。
また、もう一人の“登場人物”として、クラウディオ・バリオーニの歌も重要な役目を果たしている。ムッチーノ監督が、こう説明する。「クラウディオ・バリオーニの歌は、過去50年間に恋に落ちた、すべてのイタリア人の象徴です。もし恋に落ちたら、バリオーニを歌おうという、大衆文化へのオマージュでもあります」