撮影現場では、ムッチーノ監督は、まさに指揮者のように演出するという。「俳優には、オーケストラの指揮者のように、撮影現場でテンポを与えてくれる指揮者が必ず必要です。時間をかけて、何を改善し、どうすればよいかを理解できるようにタクトを振るのです」とムッチーノ監督は説明する。「でも、すべては目の前にいる役者の性格次第です。危機感を感じさせた方がいい役者もいれば、甘やかして安心させないといけない役者もいます。しかし、最も重要なことは、自分自身のコントロールから彼らを解放させ、予想外の力を発揮させることです」
本作では、いつにも増してムッチーノ監督は、非常に才能のある俳優を選び、撮影の数週間前から何度もリハーサルを行い、台詞を練り直し、各シーンのリズムを理解し、お互いを知る機会を与え、彼らの間にある種の化学反応を起こさせるように取り計らったと胸を張る。ムッチーノ監督は、「これは、私が書いた脚本に対して、キャラクターをどのように進化させるかを確認するためのもので、撮影の間はずっと、その作業は進行中となります。長い時間をかけて、情熱を注いでいくのです」と、自身の演出方法の秘密を明かす。