それは、ナタリー・ポートマンからの一本の電話から始まった。製作のアリソン・シェアマーがポートマンから、小説「高慢と偏見とゾンビ」を絶対に読むようにと言われたのだ。まさかその小説がヒットするとは思わなかったシェアマーは、「ジョークだと思ったわ」と笑う。だが、小説は批評家から高い評価を受け、ニューヨーク・タイムズのベストセラーリスト入りを果たす。その後、20カ国語以上に翻訳され、200万部超を売り上げた。
成功の理由は、作者のセス・グレアム=スミスが、ベースとなったジェイン・オースティンの「高慢と偏見」を熟知している点にあった。ウイルスに感染した死者がゾンビになって蘇ること以外は基本的に変えていない。変更点も、ナポレオン戦争に備えて駐屯している国民軍をゾンビと戦うためとし、主人公のエリザベスの旺盛な独立心を戦士としてのキャラクターに活かすなど、オリジナルの設定と見事に絡ませている。
ポートマンが製作に乗り出して映画化が実現、同じく製作のショーン・マッキトリックは、「映画には、オリジナルの古典小説とゾンビジャンルの両方に真面目で率直な敬意を表すトーンが必要だと感じた。ゲテモノ趣味の映画には絶対にしたくなかった」と語る。