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『パンズ・ラビリンス』のプロデューサーを魅了した小説
J.A.バヨナ監督は、2011年に出版された小説「怪物はささやく」を読んで、自分の過去作のテーマと通じるものを感じたと語る。バヨナ監督の『インポッシブル』や、ギレルモ・デル・トロ監督の『パンズ・ラビリンス』を手掛けたプロデューサーのベレン・アティエンサも、「小説の中にある美しく繊細な宝石は、私の心から何か月も消えなかった」と絶賛する。
人生の辛い時期にファンタジーの世界に触れるという設定に強く共感した二人は、この物語は映画化したとしても核にあるテーマは十分に機能すると確信し、映画化権を獲得した。
自ら脚本を手掛けることになった原作者のパトリック・ネスは、紙の上の言葉をどのようにしてスクリーンへ移行させることができるか、バヨナと念入りに話し合ったという。バヨナは、ネスの脚本についてこう説明する。「この物語は死の暗い側面を描いているけれど、最後には希望が見える。パトリックの脚本は、基本的に小説に忠実だが、新たなテーマも加えている。映画でしか表現できない領域を開拓したんだ。」