ストリート・オーケストラ

大ヒット公開中
監督・脚本:セルジオ・マシャード 
出演:ラザロ・ハーモス、サンドラ・コルベローニ、カイケ・ジェジュース
後援:駐日ブラジル大使館  配給:ギャガ GAGA★

INTRODUCTION

  • ブラジルサンパウロ最大のスラム街で
    子供たちの交響楽団が誕生するまでの感動の実話!

    2015年、ロカルノ国際映画祭のメインイベント、ピアッツァ・グランデでの野外上映は、熱い感動に包まれて幕を閉じた。名もなき子供たちが成し遂げた奇跡の実話に、8000人の観客が夜空の星も驚く壮大な喝采を贈ったのだ。
    物語の舞台は、サンパウロ最大のスラム街、エリオポリス。明日の暮らしさえ保証されないこの街で、希望のカケラすら持てずに、荒れた生活を送っていた子供たち。そんな彼らが、新しく赴任したヴァイオリン教師に教えられた音楽で生き方を変え、遂には交響楽団まで誕生させたのだ。
    映画祭での反響はすぐにヨーロッパ各地に広まり、フランス、ハンガリー、スウェーデンで上映され、さらにアメリカまで喝采の輪は広がった。そして、いよいよこの夏、クラシック音楽で逆境と闘うストリート・オーケストラが、日本にもやって来る──!

  • 夢に破れたヴァイオリニストが教えるのは、
    夢見ることも知らない子供たち
    クラシック音楽で、この街に生まれた運命と闘え!

    サンパウロ交響楽団のオーディションに落ちてしまった、ヴァイオリニストのラエルチ。失意のなか生活のために、スラム街の学校でヴァイオリン教師を始めるが、楽譜が読めないどころか、楽器の持ち方も知らない子供たちに愕然とする。この街では誰もが、今この瞬間を生きのびることに精一杯で、音楽なんて何の価値もないのだ。
    ある時、ギャングに襲われたラエルチは、見事な演奏で逆襲する。感動したギャングが、突き付けた銃をおろしたと聞いた子供たちは、人を変える力は暴力だけではないことに心を動かされる。懸命に基礎を学び始めた子供たちは、たちまち上達し、なかでもマジメなサムエルと問題児のVRが突出した才能を発揮する。彼らに刺激を受けて、ラエルチもまた音楽への愛と情熱を取り戻していた。そんな矢先、校長から次の演奏会で最高の演奏ができなければ、学校の存続は難しいと告げられる。しかし、一世一代のステージにしようと張り切るラエルチと子供たちに、思わぬ事件が待ち受けていた──。

  • カンヌ国際映画祭での受賞経験を持つ実力派監督のもと
    ブラジルNO.1の大物俳優と若手俳優たちが紡ぎ出す希望の旋律

    ラエルチに扮するのは、『ウーマン・オン・トップ』のラザロ・ハーモス。本国ブラジルでは、知らない者のいないスター俳優だが、自身もスラム街の出身だ。幼い頃から天才ともてはやされ、自分のキャリアのことしか考えなかった傲慢な男が初めて挫折を経験し、子供たちと絆を結ぶことで変わっていく姿を味わい深く演じた。
    サムエルには、ブラジルを代表する名匠ウォルター・サレスの『Linha de Passe』でスクリーンデビューを飾った注目の若手俳優、カイケ・ジェズース。まっすぐに音楽を愛するピュアな少年を瑞々しく演じた。VRには、これが映画デビューとは信じられない、強烈な存在感を放つエウジオ・ヴィエイラ。劣悪な環境に育った少年の闇が、音楽の光に救われていく様をドラマティックに演じて高く評価された。校長には、カイケ・ジェズースと共演した『Linha de Passe』でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞した演技派女優、サンドラ・コルベローニ。その他、個性豊かな子供たちは、700名以上のオーディションから選ばれた。

  • 監督は、ベルリン国際映画祭金熊賞、ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞など数々の賞に輝いた不朽の名作『セントラル・ステーション』で、ウォルター・サレス監督の助監督を務めたセルジオ・マシャード。師匠ゆずりの情感あふれる演出で魅了する。
    本作のモデルとなった、スラム街の子供たちで結成されたエリオポリス交響楽団、さらに南米一と称えられるサンパウロ交響楽団が出演し、モーツァルト、パガニーニ、ブラームス、チャイコフスキー、ラフマニノフなど数々の名曲を圧巻の演奏で披露する。

    音楽は子供たちに喜びを与え、子供たちは喜びこそが悲しみや苦しみを倒す力だと気付いていく。憎しみの連鎖を断ち切る方法を、希望の旋律で大人たちに聴かせてくれる、真実から生まれた音楽ヒューマンドラマの傑作。

PRODUCTION NOTE

スラムに生まれ明日の見えない日々を生きる子供たち。
一人のヴァイオリニストが彼らに教えたのは音楽で未来を切り拓くこと!

  • かつては“神童”と呼ばれたヴァイオリニストのラエルチ(ラザロ・ハーモス)だが、プレッシャーに負ける大人になってしまった。サンパウロ交響楽団の演奏者の最終審査でも、手が震えて演奏すらできなかった。このままでは両親に仕送りも出来ないし、たまった家賃さえ払えない。やむなくラエルチは、NGOが支援するスラム街の子供たちのヴァイオリン教師に応募する。
    殺伐とした街並みを抜けて学校に着くと、教室は空きスペースを金網で囲っただけで屋根もない。校長(サンドラ・コルベローニ)に促された生徒たちは楽器をギシギシとひっかき始めるが、演奏以前に座り方から教えなければならないレベルだった。

  • 携帯電話が鳴れば出る、気に入らないとすぐにケンカ、帽子も被ったまま──まるで動物園だ。一人だけ、サムエル(カイケ・ジェズース)という意欲的で才能のある生徒がいたが、一番の問題児である少年院帰りのVR(エウジオ・ヴィエイラ)が授業中にスナック菓子を買いに行くのを見て、遂にキレてしまうラエルチ。だが、校長に給料を前払いするとなだめられ渋々我慢するのだった。
    帰り道、ラエルチは二人組のギャングに止められ、菓子屋の店主に「警察を呼ぶ」と怒鳴ったことを責められる。「仕切ってるのは俺らのボス、クレイトンだ」とすごまれ、ヴァイオリンを弾いてみせろと銃を突き付けられたラエルチは見事な演奏を披露し、二人を黙らせる。
    翌日、あっという間に先生が脅されたという噂が広まる。「怖かったでしょ」と訊ねられたラエルチは、「美しい音楽でケモノを手なずけた」と胸を張る。ギャングの恐ろしさをよく知る子供たちは、彼らを黙らせた音楽の力に素直に驚くのだった。

  • 次から次へと新たな問題が勃発、子供たちが誰も楽譜を読めないという事実に怒るラエルチだが、途方に暮れる彼らの顔を見て胸が痛み、五線譜とト音記号から教え始める。基礎から叩き込まれた子供たちはめきめきと上達し、ラエルチのこれまで来た先生とは違う型破りな授業により楽しそうに旋律を奏でるようになる。意外にもVRには、サムエルに負けないほどの才能が隠れていた。彼らの姿を見て純粋に演奏を愛していた頃の自分を思い出したラエルチは、音楽への自信と情熱を取り戻していく。
    そんな矢先、校長から次の演奏会で最高の演奏ができなければ、学校の存続は難しいと宣告される。ラエルチは子供たちに土曜日も特訓すると告げるが、彼らは様々な事情を抱えていた。サムエルは厳格な父の仕事を手伝わなければならないし、VRはギャングに借りた金を返すためにアヤシげな仕事に手を染めていた。皆と演奏すると、「“自分にも価値がある”と思える」と目を輝かせる子供たちのために、ラエルチは彼らが音楽に集中できるよう奔走するが、思わぬ事件が待ち受けていた──。

CAST

ラザロ・ハーモス( ラエルチ )

78年、ブラジル、バイーア州生まれ。95年『Jenipapo』でキャリアをスタートし、ペネロペ・クルス主演の『ウーマン・オン・トップ』(00)で注目される。02年公開の『マダム・サタン』で初主演を務めその高い演技力から脚光を浴び、映画・テレビと次々に話題作に出演。現在では本国ブラジルで彼の名前を知らない人はいないという程の人気俳優となる。この映画では、スラム街の学校で子供たちに音楽を教える経験から、人生が目まぐるしく変わっていく主人公のラエルチを演じる。

カイケ・ジェズース( サムエル )

93年、ブラジル、バイーア州生まれ。15歳の時に、ブラジルを代表する国際映画監督ウォルター・サレスの『Linha de Passe』(08)でスクリーンデビューを果たし、サンドラ・コルベローニの息子役で有名になる。その後、2本の短編映画に出演したのち、マクナイマ演劇学校で本格的に演劇を学び、本作の出演が決定した。家庭問題を忘れるために音楽に逃げる若きファヴェーラの住民を演じる。

エウジオ・ヴィエイラ( VR )

ブラジル、サンパウロ州生まれ。本作でスクリーンデビューを果たした、若手俳優。6年以上ものブレークダンス経験があり、劇中でも華麗なダンスを披露している。映画の中では、エリオポリスのファヴェーラに住み、カードのスキミングに手を染める問題児VRを演じている。映画初出演とは思えぬ強烈な存在感を放ち、テレビドラマの出演が決定するなど、今後の活躍が期待される。

サンドラ・コルベローニ( アジーラ )

65年、ブラジル、サンパウロ州生まれ。ブラジルで権威あるポンティフィシアカトリック大学で演劇を学び、卒業後舞台女優として着実にキャリアを積み上げる。テレビや映画で活躍したのち、『Linha de Passe』(08)にて、カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞し、一躍世界にその名を知られるようになった。本作では、カイケが通う学校の校長として、再び彼と共演する。

フェルナンダ・フレイタス( ブルーナ )

80年、ブラジル、サンパウロ州生まれ。モデルとして様々な経験を積んだのち、05年にセルジオ・マシャード監督の『Lower City』でスクリーンデビューする。その後もテレビ、映画など続々と出演が続き、08年には5本ものテレビドラマに出演するなど一躍その名を知られるようになる。高い演技力が認められ、15年には舞台「Pulsões」で主要キャストの一人として全国で公演するなどブラジル国内で活躍の幅を広げている。本作では、ラザロが演じる主人公ラエルチの音楽仲間で、友人役を演じる。

STAFF

監督 セルジオ・マシャード

68年、ブラジル、バイーア州生まれ。ブラジルを代表する映画『セントラル・ステーション』(98)と『ビハインド・ザ・サン』(02)で、助監督を務める。その後、『Onde a Terra Acaba』(02)で監督を務め、リオ、ハバナと、ビアリッツ映画祭で最優秀ドキュメンタリーに選ばれた。初の長編フィクション、『Lower City』(05)では、カンヌ国際映画祭の「Award of the Youth」を含め18もの賞を受賞するなど世界でその実力が認められている。08年にはHBOのシリーズ物語「Alice」の監督を務めるなど映画のみならず、テレビ界でもその名を知られている。15年には、本作だけでなく、ドキュメンタリー『Aqui Deste Lugar』を完成させるなど、今後が最も期待される監督。

Production Note

  • ブラジルを変えたいという願いから生まれた企画

    本作の企画は、劇作家のアントニオ・エルミリオ・デ・モラエスが、自身の舞台作品「Acorda Brasil(ブラジルよ、立ち上がれ)」の映画化を、自らプロデューサーに持ち掛けたところから始まった。バカレリ協会とエリオポリス交響楽団の誕生という事実に基づいた物語で、デ・モラエスはプロデューサーに、教育や文化の力がどのように市民の生活を変えることができるのかという、物語の主軸となる部分を前面に出してほしいと希望した。
    プロデューサーから監督を依頼されたセルジオ・マシャードは、「原作のブラジルが抱える様々な問題の解決方法は、教育の向上と万人に行き届く教養にあるという考えに共感した」と語る。さらに、彼はブラジルの現状についても、「いろんな問題があるが、そこから抜け出せないほど無情な運命だとは思わない。だが、ここ10~20年の間、所得格差の縮小は見られたが、教育は未だ改善されていない」と分析する。「私が本作を監督した理由は、国を良くするために何かをしたいと思ったからだ。私はブラジル人で、子供たちをこの国で育てたし、近々海外に移住する予定もない。映画は現実を変えるほどの力はないけれど、変えたいという気持ちをこめて作った。」

  • 自ら主役を希望したスラム街出身のスター俳優

    主人公のラエルチ役には、14歳で演技を始めたブラジル映画界の大物俳優のラザロ・ハーモスが選ばれたが、当初は彼が1番の候補ではなかった。マシャード監督はハーモスに、主人公の友人役を持ち掛けた。しかし、脚本を読んだハーモスは、「自分自身の話だから、この主人公役が務まるのは自分以外にいない」と断言する。彼も映画に出てくる子供たちと同じ出身で、社会福祉活動から芸能界への道を歩み始めたのだ。子供たちはかつてのハーモスであり、ハーモスは子供たちがいつかなりたい夢の人物だと言えるだろう。
    ハーモスはヴァイオリンのレッスンの初日に、子供たちの演奏の力を間近で感じられるようにと、エリオポリス交響楽団とリハーサルをしていた指揮者のイザッキ・カラビッチェビスキーの隣に立たされたという。ハーモスは「私は泣きそうだから早く下ろしてくれと頼んだ。素晴らしくて、力強くて、すぐにラエルチが抱く音楽への情熱も理解できたよ」と微笑む。

  • 実際の事件を体験しているエキストラの
    リアルすぎる暴動シーン

    少年が警察に射殺されたことから人々が暴動を起こすシーンは、数年前に実際に起きた警察と住民との争いをもとに描いている。エリオポリスの住民には、まだその時のトラウマが残っていると聞いたマシャード監督は、別のスラム街で撮影をしたが、エキストラはエリオポリスから連れて行った。そのシーンが始まると、撮影をしていることを忘れたかのように、彼らは本気で警官役の俳優たちに向かっていった。スタッフが本物の警官ではなく役者だと何度説明しても、テイクを重ねていくと、暴力的になってしまうのだ。
    マシャード監督は、「それはそれで、映像にものすごいリアリティーを与えてくれたが、エキストラの神経を落ち着かせるために、何度も中断せざるを得なかった」と振り返る。そのため俳優たちにとってもリアルすぎる演技となり、彼らが精神的に回復するのを待たなければならなかったという。

  • 南米一のサンパウロ交響楽団が奏でる調べ
    もう一つの主役としての音楽

    マシャード監督は、本作を撮影した年には、サンパウロ交響楽団の公演全てに足を運び、音楽史の授業を受けた。クラシック音楽の高尚さと、都市郊外の若者が日常的に聞くポップスのリズムという、二つの世界を映し出そうと考えたマシャード監督は、音楽を2部構成で考えた。
    クラシック音楽が流れる全シーンの選曲を担当したアレシャンドレ・ゲーハは、バッハ、パッヘルベル、パガニーニの他に、ブラジルの作曲界で最も複雑な音楽を作曲することで知られるセザール・ゲーハ・ペイシなどを選んだ。
    一方、Coletivo Institutoのテージョ・ダマセノとヒカ・アマビスが、クラシック音楽と正反対の分野での曲の選別と制作に携わった。Z'África Brasilやサボタージなどのラップで都市郊外を表現した。Mano Brown、Emicida、ハッピン・ウッヂ、麻薬販売人クレイトン役として特別出演しているクリオーロといったサンパウロのヒップホップミュージシャンの曲も流れている。

Music

本編を彩るクラシック名曲の数々!

  • モーツァルト 「ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K.216」
    「きらきら星 フランスの歌「ああ、お母さん聞いて」による12の変奏曲」
  • ブラームス 「弦楽四重奏曲第3番 変ロ長調 Op.67」
  • バッハ 「ブーレ」
    「無伴奏ヴァイオリンソナタ2番・アンダンテ」
    「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番 ロ短調」
    「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 プレリュード」
    「G線上のアリア」
    「マタイの受難曲 BMV.244」
  • ヨハン・シュトラウスⅡ世 「美しき青きドナウ」
  • シューマン 「チェロとオーケストラのための協奏曲Op.129」
  • ニコラ・パガニーニ 「カプリース第20番」
  • パッヘルベル 「カノン」
  • リスト 「慰め 第3番 変二長調」
  • ヴィヴァルディ 「弦楽のための協奏曲ト長調 「アラ・ルスティカ」」
  • チャイコフスキー 「交響曲第4番」など