大阪・堺。千利休を生んだ茶の湯の聖地に、目利きだが大物狙いで空振りばかりの古物商・小池則夫(中井貴一)が娘のいまり(森川葵)を連れてやって来た。「西に吉あり」。ラジオの占いに導かれるように車を走らせていると、蔵のある屋敷にたどり着く。門から様子を伺うと、主らしい男・野田佐輔(佐々木蔵之介)が帰ってきた。蔵の中を見せてくれると言う。庭にはジオラマ作りに夢中の息子・誠治(前野朋哉)がいた。
佐輔は「骨董の事は分からない。これ一つでも車一台は買えると聞いている」と言って茶器を差し出す。則夫は名物に似せた贋物だと見抜き、売りつけた古美術店の名を聞くと、茶器を譲り受けた。
則夫は早速、その店を訪ねる。素人に贋物をつかませた証拠をネタに高額で引き取らせる魂胆だ。ところが、店主の樋渡(芦屋小雁)と大御所鑑定士の棚橋(近藤正臣)に軽くあしらわれてしまう。くさっていると佐輔からの電話。屋敷に再び呼ばれた則夫は、書状を見せられ、絶句する。利休直筆の譲り状だ。「お宝でっか?」と尋ねる佐輔にしらばくれる則夫。譲り状があれば茶器があるはず。はやる心をおさえながら蔵の中を探すと、ついに利休の形見の茶器が現れた。国宝級だ。「蔵のもの全部、百万円で引き取りましょう」。すました顔で申し出ると、佐輔は快く応じた。
翌朝、支払いを終え、お宝を積んだ車を上機嫌で走らせていると、ラジオから「油断大敵」の声。不安になって箱を開けると、茶器は真っ赤なニセモノだった。
佐輔は「骨董の事は分からない。これ一つでも車一台は買えると聞いている」と言って茶器を差し出す。則夫は名物に似せた贋物だと見抜き、売りつけた古美術店の名を聞くと、茶器を譲り受けた。
則夫は早速、その店を訪ねる。素人に贋物をつかませた証拠をネタに高額で引き取らせる魂胆だ。ところが、店主の樋渡(芦屋小雁)と大御所鑑定士の棚橋(近藤正臣)に軽くあしらわれてしまう。くさっていると佐輔からの電話。屋敷に再び呼ばれた則夫は、書状を見せられ、絶句する。利休直筆の譲り状だ。「お宝でっか?」と尋ねる佐輔にしらばくれる則夫。譲り状があれば茶器があるはず。はやる心をおさえながら蔵の中を探すと、ついに利休の形見の茶器が現れた。国宝級だ。「蔵のもの全部、百万円で引き取りましょう」。すました顔で申し出ると、佐輔は快く応じた。
翌朝、支払いを終え、お宝を積んだ車を上機嫌で走らせていると、ラジオから「油断大敵」の声。不安になって箱を開けると、茶器は真っ赤なニセモノだった。
大慌てで戻ると、屋敷の主は全くの別人(寺田農)だった。佐輔は留守番を頼まれただけだったのだ。則夫が佐輔の行きつけの居酒屋に乗り込むと、百万円を山分けしている。警察の筆跡鑑定もくぐり抜ける達筆のマスター(木下ほうか)、紙に詳しい表具屋のよっちゃん(坂田利夫)、どんな箱でも作ってみせる材木屋(宇野祥平)。彼らは贋作に関わる仲間たちだった。隙を見て逃げ出した佐輔を追いかけると、さびれた家に着く。そこには佐輔の妻・康子(友近)と誠治、そして、いまりがいた。屋敷に通ううち、誠治といまりは心を通わせていたのだ。息子に恋人ができたことに安心した康子は家を出ていく。陶芸家としての才能があるにもかかわらず、樋渡と棚橋にそそのかされ、贋物を作り続け、くすぶっていた佐輔に愛想を尽かしたのだ。
利休形見の茶器の本物の〈譲り状〉と〈箱〉はある。だが、肝心の〈茶器〉がない。則夫は一瞬でも自分の目を惑わせた佐輔の腕を見込み、一世一代の大勝負を持ちかける。「悔しかったら、やり返せよ」。実は則夫自身にも樋渡と棚橋に一杯食わされた過去があった。
利休に関わる博物館を訪れた二人は、利休を愛してやまない学芸員(塚地武雅)に出会う。昔の情熱を次第に取り戻す佐輔。それを支える則夫。力を合わせて作り上げる茶器はきっと「本物よりも凄いモノ」になるはず。二人が仕掛けた一発逆転の大勝負は、樋渡や棚橋だけでなく文化庁をも巻き込み、前代未聞の大騒動に発展する。果たして人生の借りを返し、一攫千金の夢を叶えられるのか─。
利休形見の茶器の本物の〈譲り状〉と〈箱〉はある。だが、肝心の〈茶器〉がない。則夫は一瞬でも自分の目を惑わせた佐輔の腕を見込み、一世一代の大勝負を持ちかける。「悔しかったら、やり返せよ」。実は則夫自身にも樋渡と棚橋に一杯食わされた過去があった。
利休に関わる博物館を訪れた二人は、利休を愛してやまない学芸員(塚地武雅)に出会う。昔の情熱を次第に取り戻す佐輔。それを支える則夫。力を合わせて作り上げる茶器はきっと「本物よりも凄いモノ」になるはず。二人が仕掛けた一発逆転の大勝負は、樋渡や棚橋だけでなく文化庁をも巻き込み、前代未聞の大騒動に発展する。果たして人生の借りを返し、一攫千金の夢を叶えられるのか─。
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