イントロダクション

INTRODUCTION

大森一樹監督・最後の映画企画
おおらかに命を見つめる
人間ドラマにして、
爽快な医療時代劇の誕生

中国・唐由来の漢方医と西洋医学を学んだ蘭方医が競い合っていた時代、幕末。京都の村を舞台に、爽快な医療時代劇が誕生した。主人公の蘭方医らの奮闘と未来へと繋ぐ思い、そして彼を取り巻く医者たちや人間たちとのドラマが生き生きと描かれる。主演は佐々木蔵之介。本作の企画を進めるなかで他界した、京都の医大生の青春群像劇『ヒポクラテスたち』(80)の監督大森一樹の最後の映画企画であり、京都府立医科大学創立150周年記念映画。

ストーリー

STORY

京都のはずれの村を
舞台に奮闘する
医者たちの物語

キャラクター

CHARACTER

トリビア

TRIVIA

蘭方医

江戸時代、オランダを通じて日本に伝わった西洋医学(蘭方医学)を学び、実践した医師。蘭方医は外科手術や解剖学など医療器具を使った治療を取り入れ、『解体新書』の翻訳(杉田玄白・前野良沢ら)やシーボルトの鳴滝塾、緒方洪庵の適塾などを通じて、日本の近代医学の基礎を築いた医師たち。

社会貢献: 天然痘の予防(種痘)やコレラの治療など、幕末の感染症対策に大きく貢献。

漢方医

中国の伝統医学が日本で独自に発展した日本の伝統医学で、体質や全身のバランスを重視し、「気・血・水」の巡りを整え、生薬を組み合わせた「漢方薬」で治療を実践する医師。江戸時代、漢方医は日本の医学の中心であり、幕府の奥医師もほとんどが漢方医であった。代表的な漢方薬、葛根湯などを処方していた。幕末からは蘭方医も台頭し、明治維新後、漢方医は医師免許制度から排除されるなど苦難の時代を迎えることとなった。

ヒポクラテス

古代ギリシャの医者(紀元前460年ごろ - 紀元前370年ごろ)。医学を原始的な迷信や呪術から切り離し、臨床と観察を重んじる経験科学へと発展させ、さらに医師の倫理性と客観性について『誓い』と題した文章が全集に収められ、現在でも『ヒポクラテスの誓い』として受け継がれている。 本作中に太吉が新左に伝えることば「人生は短かし、医術の道は長し」と言う言葉は、ヒポクラテスのものとされており、「ars longa, vita brevis アルスロンガ、ウィータブレウィス」というラテン語訳で現代でも広く知られている。ヒポクラテスは「医学の父」、「医聖」、「疫学の祖」などと呼ばれている。

『ヒポクラテスたち』

(1980年、126分)

BD税込¥2,750、
DVD税込¥2,090発売中
発売・販売:キングレコード
©1980 オフィス・シロウズ/東宝

製作:佐々木史朗

監督/脚本:大森一樹

撮影:堀田泰寛

音楽:千野秀一

出演:古尾谷雅人、伊藤蘭、柄本明、小倉一郎、光田昌弘、渡辺文雄、
狩場勉、真喜志きさ子、内藤剛志 ほか

第54回キネマ旬報ベスト・テン日本映画部門第3位
第2回ヨコハマ映画祭助演女優賞(伊藤蘭)
第5回報知映画賞主演男優賞(古尾谷雅人)

今、彼等の青春が診察される。
モラトリアムに揺れる医学生たちの姿をみずみずしく描いた、
傑作青春グラフィティ。

京都を舞台に、医大の最終学年の一年にスポットをあて、モラトリアムに揺れる医大生の青春像をみずみずしく描いた青春グラフィティ。大森一樹監督自身が、京都府立医科大学を卒業、医師国家試験に合格という、映画監督としては異色の経歴をもち、自らの体験を基に、医師になる前の若者たちの苦悩や挫折を映し出した、日本版『アメリカン・グラフィティ』ともいえる傑作。古尾谷雅人を主演に、柄本明、内藤剛志、斉藤洋介、伊藤蘭ら錚々たる面々の若かりし日の演技、手塚治虫や鈴木清順監督らのカメオ出演も見どころの一つ。本作で、キネマ旬報ベスト・テン第3位を獲得、その後はコンスタントに商業映画を撮るに至る、大森監督にとって、正に出世作にして代表作となった作品。

幕末ヒポクラテスたち
9.25 FRI
佐々木蔵之介KURANOSUKE SASAKI
役名:大倉太吉(おおくら たきち)

1968年2月4日生まれ。京都府出身。大学在学中から劇団「惑星ピスタチオ」の立ち上げに参加。退団後、2000年NHK連続テレビ小説「オードリー」で注目される。以降、ドラマ、映画、舞台と幅広く活動。主な映画出演作に『間宮兄弟』(06)、『アフタースクール』(08)、『大奥〈男女逆転〉』(10)、『岳-ガク-』(11)、第38回日本アカデミー賞優秀主演男優賞受賞作『超高速!参覲交代』(14)、『ソロモンの偽証 前篇・後篇』(15)、『超高速!参勤交代 リターンズ』(16)、『3月のライオン前編、後編』、『花戦さ』(17)、『嘘八百』(18)、第43回日本アカデミー賞優秀助演男優賞受賞作『空母いぶき』(19)、『嘘八百 京町ロワイヤル』(20)、『科捜研の女 -劇場版-』(21)、 『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』、『峠 最後のサムライ』(22)、『シャイロックの子供たち』、『ゴジラ −1.0』、『嘘八百 なにわ夢の陣』(23)、『マイホームヒーロー』(24)、『盤上の向日葵』、『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』(25)など。主な出演ドラマは、NHK大河ドラマ「風林火山」(07)、「麒麟がくる」(20)、「光る君へ」(24)、「ハンチョウ~神南署安積班~」シリーズ(09~/TBS)、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」(17)、「知らなくていいコト」(20/NTV)、「マイホームヒーロー」(23/TBS)など。2025年ひとり芝居「ヨナ-Jonah」(日本・ルーマニア共同制作)でルーマニアのシビウ国際演劇祭に参加、ヨーロッパ4カ国6都市・日本各地で公演。公開待機作に『名無し』(5月29日公開予定)がある。

藤原季節KISETSU FUJIWARA
役名:相良新左(さがら しんざ)

小劇場での活動を経て、2013年より本格的に俳優活動をスタート。翌年の映画『人狼ゲーム ビーストサイド』を皮切りに、『ケンとカズ』(16)、『全員死刑』(17)、『止められるか、俺たちを』(18)などに出演。2020年には、主演を務めた『佐々木、イン、マイマイン』がスマッシュヒットを記録し、『his』とあわせて同年の第42回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。翌年には第13回TAMA映画賞最優秀新進男優賞を受賞するなど、デビュー以降、映画のみならずドラマ、舞台など幅広く活動を続けている。その他の出演作として、映画『くれなずめ』(21)、『のさりの島』(21)、『空白』(21)、『わたし達はおとな』(22)、『少女は卒業しない』(23)『辰巳』(24)『あるいは、ユートピア』(24)など。主なドラマ出演は、「監察医 朝顔」シリーズ(19~/CX)、NHK大河ドラマ「青天を衝け」(21)、Netflixシリーズ「阿修羅のごとく」、NHK特集ドラマ「まぐだら屋のマリア」(BS)(25)など。待機作に、『ちるらん 新撰組鎮魂歌』(TBS SPドラマ “江戸青春篇” 3月26日(木)、27日(金)二夜連続放送/U-NEXTドラマシリーズ ”京都決戦篇” 3月27日(金)放送終了後から配信開始) 他、今春放映予定のNHK連続テレビ小説「風、薫る」、主演映画『赤土に眠る』(27年公開予定)等がある。

内藤剛志TAKESHI NAITO
役名:荒川玄斎(あらかわ げんさい)

1955年生まれ、大阪府出身。文学座研究所を経て、映画『ヒポクラテスたち』(80)でデビュー。1995年から2001年にかけて、“27クール続けて連続ドラマ出演”という日本記録を打ち出し、“連ドラの鉄人”と呼ばれるなどテレビドラマでも活躍。主な出演ドラマは、「家なき子」(94、95/NTV)、「科捜研の女」(00~/EX)、「警視庁強行犯係・樋口顕」(03~/TX)、「警視庁・捜査一課長」(12~/EX)、「十津川警部シリーズ」(17~19/TBS)、「旅人検視官 道場修作」(23~/BS日テレ)。主な出演映画は、『幻の光』(95)、『千と千尋の神隠し』(01/声の出演)、『瀬戸内海賊物語』(14)『山本慈昭 望郷の鐘 満蒙開拓団の落日』(14)、『ペット2』(19/声の出演)、『劇場版 科捜研の女』(21)など。公開待機作に、主演作『旅人検視官 道場修作 映画版』(6月12日公開)がある。

藤野涼子RYOKO FUJINO
役名:相良峰(さがら みね)

2000年2月2日生まれ、神奈川県出身。映画『ソロモンの偽証 前篇・後篇』(15)のオーディションに参加、主演に抜擢されデビューを果たす。翌年『ソロモンの偽証』での演技が評価され、第39回日本アカデミー賞新人俳優賞など多数の新人賞を受賞。主な出演映画は、『クリーピー 偽りの隣人』(16)、『影踏み』(19)など。主な出演ドラマは、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」(19)、「日暮里チャーリーズ」(20/ABC)、「エアガール」(21/EX)、NHK大河ドラマ「青天を衝け」(21)など。

室井滋SHIGERU MUROI
役名:ナレーション

富山県出身。1981年映画『風の歌を聴け』(大森一樹監督)でデビュー。『居酒屋ゆうれい』(94)、「のど自慢」(99)、「OUT」(02)、「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜」(09)などで多くの映画賞を受賞。近作出演映画に『大コメ騒動』(21)、『七人の秘書THE MOVIE』(22)、『ぶぶ漬けどうどす』(25)など。映画『耳をすませば』(95)、『ファインディング・ニモ』(03)・『ファインディング・ドリー』(16)の日本語吹替版、ドキュメンタリー映画『ハッピー☆エンド』のナレーションを担当の他、ラジオ、朗読、ナレーションなど数多く出演。また、エッセイ・絵本なども多数執筆。近著にエッセイ集『やっぱり猫 それでも猫』(中央公論新社)、『ゆうべのヒミツ』(小学館)、絵本『タケシのせかい』(アリス館)他電子書籍化含め著書多数。

真木よう子YOKO MAKI
役名:大倉フミ(おおくら ふみ)

1982年10月15日生まれ、千葉県出身。デビュー以降、数多くのテレビドラマや映画に出演。2006年映画『ベロニカは死ぬことにした』で初主演を務め、2013年、第37回日本アカデミー賞にて映画『さよなら渓谷』で最優秀主演女優賞、『そして父になる』で最優秀助演女優賞と2冠に輝いた。主な出演映画は、『パッチギ!』(05)、『ゆれる』(06)、『脳内ポイズンベリー』(15)、『海よりもまだ深く』(16)、『孤狼の血』(18)、『アンダーカレント』(23)など。主な出演ドラマは「SP 警視庁警備部警護課第四係」(07/CX)、NHK大河ドラマ「龍馬伝」(10)、「最高の離婚」(13/CX)、「MOZU」(14/TBS、WOWOW)、「セシルのもくろみ」(17/CX)など。

柄本明AKIRA EMOTO
役名:弾蔵(だんぞう)

1948年11月3日生まれ、東京都出身。1976年、『劇団東京乾電池』を結成し座長を務める。98年公開の映画『カンゾー先生』で、第22回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。10年公開の映画『悪人』で第34回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞するなど、さまざまな映画賞を受賞。映画のみならず、舞台やテレビドラマにも多数出演し。11年、紫綬褒章を受章。15年、第41回放送文化基金賞演技賞を受賞。19年には旭日小綬章を受章。主な出演映画は『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』(82)、『うなぎ』(97)、『やじきた道中 てれすこ』(07)、『妖怪人間ベム』(11)、『岸辺の旅』(15)、『シン・ゴジラ』(16)、『身代わり忠臣蔵』(24)など。主な出演ドラマは、「とんび」(13/TBS)、NHK大河ドラマ「西郷どん」(18)、「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」(20/CX)など。

監督
緒方明AKIRA OGATA

1959年生まれ。佐賀市出身。福岡大学在学中に石井聰亙監督と出会い、映画監督を志して上京。『狂い咲きサンダーロード』(80)などの石井作品で助監督を務めるかたわら、自主制作映画『東京白菜関K者』(80)を監督。ぴあフィルムフェスティバル81にて長谷川和彦、大島渚らの推薦を受け入選を果たす。その後、高橋伴明監督や大森一樹監督らの助監督を務め、86年にフリーディレクターとして独立。2000年『独立少年合唱団』で長編スクリーンデビュー。第50回ベルリン国際映画祭コンペ部門で新人監督賞にあたるアルフレッド・バウアー賞を受賞。日本人初の受賞となった。その後『いつか読書する日』(05)はモントリオール世界映画祭審査員特別賞ほか国内外で高く評価され、主演を務めた田中裕子はこの作品でキネマ旬報主演女優賞の他数多くの賞を受賞。『のんちゃんのり弁』(09)は第31回ヨコハマ映画祭で監督賞受賞。主演を務めた小西真奈美は第64回毎日映画コンクールをはじめヨコハマ映画祭、高崎映画祭で主演女優賞を受賞。2010年、1957年ルイ・マル監督のフランス映画をリメイクした『死刑台のエレベーター』が公開されるなど、CMやミュージックビデオ、ドラマなどを多数演出をしている。

製作総指揮
大森一樹

1952年3月3日生まれ。大阪市出身。医師である父の転勤で10歳の時に兵庫県芦屋市に転居、芦屋市立精道中学校、六甲高等学校、京都府立医科大学医学部卒業。1983年、医師国家試験合格。希少な「医師免許を持つ映画監督」としても知られる。六甲高校在学中から仲間たちと8ミリ映画を撮り始める。京都府立医大在学中に監督した16ミリ作品『暗くなるまで待てない!』を各地で自主上映し、一躍映画ファンに自主制作映画の金字塔としてその名が知られる。1977年(25歳)に脚本『オレンジロード急行(エクスプレス)』で第三回城戸賞。翌1978年に同作品を自ら監督し、医大生でありながら劇場映画監督デビューを果たす。1980年、自身の医学生時代を描いた『ヒポクラテスたち』(監督・脚本)を監督、同年に京都府立医科大学 卒業。1981年に中学校の3年先輩である村上春樹さんの小説『風の歌を聴け』(監督・脚本)を監督。1980年から吉川晃司主演3部作、斉藤由貴主演3部作、1989年から『ゴジラ対ビオランテ』(89)、『ゴジラ対キングギドラ』(91)をはじめとする平成ゴジラシリーズの脚本や監督を務める。他に、SMAP主演の『シュート!』(94)(監督)、『緊急呼出し エマージェンシー・コール』(95)(監督・脚本)、『わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語』(96)(監督)、『悲しき天使』(06)(監督・脚本)など30本を超える作品がある。2000年4月から大阪電気通信大学 総合情報学部 メディア情報文化学科 教授、2005年4月から大阪芸術大学芸術学部 映像学科 学科長を務め若手映画人の育成に携った。
2022年11月12日、急性骨髄性白血病のため兵庫県内の病院にて逝去。

脚本
西岡琢也

1956年京都生まれ。関西大学法学部法律学科卒業。大学在学中より、井筒和幸監督の助監督。1979年、脚本家デビュー。2005年から15年まで、協同組合日本シナリオ作家協会理事長。主な映画作品『ガキ帝国』(81)、『TATTOO(刺青)あり』(82)、『ションベン・ライダー』(83)、『人魚伝説』(84)、『はいからさんが通る』(87)、『金田一少年の事件簿』(96・アニメ)、『陽はまた昇る』(02)、『沈まぬ太陽』(09)、『太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-』(11)、『はやぶさ~遥かなる帰還』(12)ほか多数。主なテレビ作品、シリーズ「京都送宮案内」(00~/ANB)、「京都地検の女」(03~/ANB)、単発ドラマ「新しい朝が来た~八月十五日のラジオ体操」(03/NHK)、「鬼太郎が見た玉砕」(09/NHK)、「返還交渉人」(17/NHK BSプレミアム)ほか2時間ドラマ多数。