INTRO
DUCTION
&STORY
INTRODUCTION
パリ・オペラ座で初演されて以来100年近く、時代と国境を越えて愛され続けている名曲「ボレロ」。
スネアドラムのリズムに導かれ、わずか2種類の旋律が楽器を替えて繰り返されるという、
斬新かつシンプルな構成が聴衆の五感を虜にし、
17分間の作品を貫くクレッシェンドが、カタルシスに満ちた壮大なフィナーレへと誘う。
この中毒性のあるリフレインは、後世のクラシック音楽にはもちろん、
ポップミュージックやジャズにも影響を及ぼし、
映画や演劇にもインスピレーションを与えている。
だが、驚くべきことに、この音楽史上において最も成功したベスト&ロングセラー曲は、
ラヴェル本人が最も憎んでいた曲だったのだ──。
いったい、天才作曲家に何があったのか?
史実をもとに永遠の傑作の誕生の秘密を解き明かす、音楽映画が完成した。
STORY
1928年<狂乱の時代>のパリ。深刻なスランプに苦しむモーリス・ラヴェルは、ダンサーのイダ・ルビンシュタインからバレエの音楽を依頼されるが、一音も書けずにいた。失った閃きを追い求めるかのように、過ぎ去った人生のページをめくる。戦争の痛み、叶わない美しい愛、最愛の母との別れ。引き裂かれた魂に深く潜り、すべてを注ぎ込んで傑作「ボレロ」を作り上げるが──。
監督は『ドライ・クリーニング』でヴェネチア国際映画祭の金オゼッラ賞に輝き、『ココ・アヴァン・シャネル』や『夜明けの祈り』でセザール賞にノミネートされたヒューマン・ドラマの名手アンヌ・フォンテーヌ。監督の熱意で、モンフォール・ラモーリーにあるラヴェルの実家、ル・ベルヴェデールでの撮影が許可された。
ラヴェルを演じるのは、『彼は秘密の女ともだち』のラファエル・ペルソナ。繊細なラヴェルが、唯一無二の才能を振り絞って音楽を生み出す姿を、青い炎のごとく表現した。ラヴェルのミューズであるミシアには、『ベル・エポックでもう一度』でセザール賞主演女優賞にノミネートされたドリヤ・ティリエ。イダには『バルバラ~セーヌの黒いバラ~』でセザール賞主演女優賞を受賞したジャンヌ・バリバール。また、ラヴェルを温かく支え続けるシパに、『ダリダ~あまい囁き~』のヴァンサン・ペレーズが扮している。
ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏による「ボレロ」に加え、「亡き王女のためのパヴァーヌ」「道化師の朝の歌」などの名曲をアレクサンドル・タローが披露、ラヴェルの今なお輝く多彩な音楽が観る者を魅了する。さらに、元パリ・オペラ座のエトワール、フランソワ・アリュが、生命力が爆発するような跳躍で踊るエンディングの「ボレロ」も見逃せない。
CAST
&STAFF
STAFF
1959年7月15日、ルクセンブルク生まれ。1980年代に女優としていくつかの作品に出演したのち、『Les Histoires d’amour finissent mal… en général』(93)で監督デビュー、ジャン・ヴィゴ賞を受賞した。ヴェネチア国際映画祭で金オデッラ賞を受賞した『ドライ・クリーニング』(97)、ココ・シャネルの半生絵を描きアカデミー賞衣裳デザイン賞にノミネートされた『ココ・アヴァン・シャネル』ほか、その他の主な監督作品にはナオミ・ワッツとロビン・ライトを主演に迎えた『美しい絵の崩壊』(13)、『ボヴァリー夫人とパン屋』(14)、『夜明けの祈り』(16)などがある。
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