About The Movie | 映画『グラッツィア 大統領 最後の散歩』公式サイト

妻を亡くしたイタリア大統領 国を揺るがす決断を前に彼は静かに街へ出る。任期満了まで、あと6か月─–『グラッツィア 大統領 最後の散歩』12/25(金)公開!

ABOUT THE MOVIE

「私の人生は誰のもの?」引退間近の大統領の決断は、国を変えるのか。人生を変えるのか。

INTRODUCTION & STORY

巨匠パオロ・ソレンティーノ × 名優トニ・セルヴィッロ 第82回 ヴェネチア国際映画祭<主演男優賞>受賞

妻を亡くしたイタリア大統領を待ち受ける、国を揺るがす3つの署名 任期満了まで、あと6ヶ月––

イタリア共和国大統領マリアーノ・デ・サンティスの任期満了まで、あと6か月。完璧なフィナーレを望むマリアーノに突き付けられたのは、安楽死合法化法案と、愛ゆえに罪を犯した2人の殺人犯への恩赦という、重大な“3つの署名”だった。敬虔なカトリック教徒、そして確固たる信念を持つ法律家として生きてきたマリアーノだったが、国家の未来を大きく揺さぶる選択を前に立ち止まる。悩めるマリアーノの心を癒すと同時に苦しめるのは、亡き妻への尽きることのない愛と喪失の想いだ。法律顧問を務める娘や妻の秘密を知る旧友との対話、様々な人々との出会いを通して答えを探し続けるマリアーノは、大統領史上慣例のない驚くべき行動へと踏み出す──。

愛とは、赦しとは、そして家族とは–– 人生は選択の連続「あなたなら、どうする?」壮麗な映像美とともに描く、迷える者にこそ差し込む希望の物語

マリアーノを演じるのは、イタリアの国宝級名優トニ・セルヴィッロ。権力者の孤独と民衆への慈愛、一人の父親かつ夫としての人間味あふれる感情を、雄弁な沈黙と繊細な佇まいで体現し、ヴェネチア国際映画祭主演男優賞を受賞した。娘のドロテア役の『ダイヤモンド 私たちの衣装工房』のアンナ・フェルゼッティ、強烈な印象を残す旧友役の『LORO 欲望のイタリア』のミルヴィア・マリリアーノら実力派俳優たちが、多彩な人間模様をユーモアと哀愁の絵筆で描き出す。

監督は『イル・ディーヴォ -魔王と呼ばれた男-』でカンヌ国際映画祭審査員賞、『グレート・ビューティー/追憶のローマ』でアカデミー賞🄬外国語映画賞を受賞し、イタリアを代表する映像作家から今や21世紀の映画史にその名を刻む巨匠となったパオロ・ソレンティーノ。現イタリア大統領セルジョ・マッタレッラが、アルツハイマー病を患う妻を殺害した高齢男性を恩赦したというニュースから着想したという、ソレンティーノ監督の最新作にして新境地。

ミラノ・スカラ座、トリノ王宮、キアブレーゼ宮殿、ヴァレンティーノ城、モンカリエーリ城、ヴィラ・メディチ、イタリア科学アカデミー、などイタリア屈指の歴史建築・文化施設でのロケーション撮影を実現させ、これまでのソレンティーノ監督作品の華麗な映像を品格の香る壮麗な映像美に昇華させた。

タイトルの“グラッツィア”とは、イタリア語で「恩赦」と「恩寵」の二重の意味を持つ。ソレンティーノ監督は分身と言われるトニ・セルヴィッロと共に、一見特別な存在であるイタリア大統領の内面にどこまでも深く潜りこむことで、誰もが抱える葛藤とジレンマ、愛と憎しみ、怒りと赦しの本質にたどり着く。〈迷い〉という誠実な道を一歩一歩踏みしめた先にこそ、本物の希望が輝く。人生の答えを探し続けるすべての人に贈るヒューマンドラマが誕生した。

INTERVIEW with Paolo Sorrentino

ええ、もちろんです。私はキャスティング作業がとても面倒くさいんですよ(笑)。トニとはもう長年の付き合いですし、あの役を演じるのにイタリアで最も説得力のある俳優だと思っていました。

今回はとても気が楽でした。アンドレオッティやベルルスコーニを描いた以前の作品では、「殺されるんじゃないか」と怖かったんです。でも今回は、初めて肩の力を抜いて取り組むことができました。

イタリアには幸運なことに、特にここ30年ほどの間、非常に賢明で堅実な共和国大統領たちの伝統があります。ですから私は、その30年間の経験と地続きに感じられる人物像を作りたかったのです。

映画で政治を扱うのは簡単ではありません。そこで、イタリア共和国大統領にどのような権限が与えられているのかを、まず明確に説明したかったんです。一見すると権限は限られているように見えますが、道義的影響力とでも言うべき役割があり、それはイタリアの大統領にとって非常に重要なものなんです。

ぜひ語りたいテーマではあるのですが、実は自分でもまだ完全には理解できていません。おそらくそれは優しさや、他人を受け入れる力、人に心を開くこと、そして愛する能力の混ざり合ったものなのでしょう。少し前に教皇が言っていたことにも通じますが、「私たちは不確実さの中で生きていることを受け入れる能力」でもあると思います。どんな決断も、最終的には疑いを含んでいます。たとえ私たちが確信しているふりをしていても、その内側には常に疑念があるのです。

この映画の立場は非常に明確だと思いますし、私自身の考えも率直に言っています。私は安楽死に賛成です。ただし重要なのは、人々がその決断に至るまでに何を経験してきたのかに目を向けることです。
ここで一人の女性について触れたいと思います。たしかマルティーナ・オッペッリさんという方だったと思います。彼女は自死の許可を求めましたが認められませんでした。そしてその後、動画を公開しました。彼女が語っていたのは、「私たちが生きるためにどれほど大きな努力をしているか、あなたたちには想像もつかないでしょう」ということでした。その言葉は本当に私の心を打ちました。人々は安楽死を望む人たちの死にたいという願いばかりに注目します。しかし本当に見るべきなのは、その前に彼らがどれほど懸命に生きようとしてきたかということです。私はそこに深く心を動かされましたし、この映画でもその思いはかなり明確に表れていると思います。ただ、この問題を本当に掘り下げて語るには、もっと長く、もっと繊細な議論が必要になります。ですので、これはごく短い答えということで。

出典:フィルム・アット・リンカーン・センター/
ニューヨーク映画祭

STAFF

パオロ・ソレンティーノ

パオロ・ソレンティーノ
監督・脚本

1970年5月31日 ナポリ生まれ。ナポリ大学で経済学を学んだ後、映画の道へ進む。
長編デビュー作『もうひとりの男』(01)がヴェネチア国際映画祭に出品され注目を集め、その後『イル・ディーヴォ -魔王と呼ばれた男-』 (08)、『きっと ここが帰る場所』(11)などで世界的評価を確立。『グレート・ビューティー/追憶のローマ』(13)でアカデミー賞外国語映画賞を受賞し、現代イタリア映画界を代表する存在となった。『愛の果てへの旅』(04)から『パルテノペ ナポリの宝石』(24)まで多くの作品がカンヌ映画祭のコンペティション部門に選出される常連監督として知られている。また、自身の自伝的要素を盛り込んだNetflix映画『The Hand of God』(21)でヴェネチア国際映画祭審査員賞を受賞。権力者や政治家を描いた作品も多く、元首相ジュリオ・アンドレオッティをモデルに描いた『イル・ディーヴォ -魔王と呼ばれた男-』、元首相シルヴィオ・ベルルスコーニをモデルにした『LORO 欲望のイタリア』(18)に続き、現大統領セルジョ・マッタレッラが2019年に行った恩赦法案をモチーフにして本作を制作している。

HISTORIC LANDMARKS & FILMING LOCATIONS

  • ミラノ・スカラ座

    1778年に開場した、イタリアを代表する世界有数の歌劇場。数々の名演を生み出し、オペラとバレエの殿堂として、今なお世界中の音楽ファンを魅了している。本作では、大統領がスカラ座のプレミアで観劇する場面で登場。

  • トリノ王宮

    16世紀末に建設が始まったサヴォイア家の宮殿。1563年にサヴォイア公国の首都がトリノに移されて以降、王家の居城として発展し、壮麗な宮殿建築と庭園が今も残されている。本作では、ポルトガル大使が大統領を訪問する際、突然の雨に見舞われる場面が中庭で撮影された。

  • キアブレーゼ宮殿

    18世紀にサヴォイア家のベネデット・マウリツィオ公の邸宅として整えられ、宮廷建築家ベネデット・アルフィエリによって改修・拡張された宮殿。優美な装飾を施した歴史的な室内が見どころ。本作では、法務大臣ウーゴ・ロマーニと話す場面、ドロテアが歩く場面、宇宙飛行士との中継場面などに使用された。

  • ヴァレンティーノ城

    16世紀に建てられ、1564年にサヴォイア家の所有となった歴史的な城館。17世紀にクリスティーナ・ディ・フランスのもとで大規模な改築が行われ、現在はトリノ工科大学の建築・デザイン関連の施設として利用されている。本作では大統領官邸の一部として登場し、大統領が大広間で音楽を聴き、娘ドロテアがそれを見つめる場面などが撮影された。

  • 13世紀に築かれ、後にサヴォイア家の居城として発展した歴史的な城館。トリノ南郊の丘に位置し、壮麗な宮殿建築と庭園を今に伝えている。本作では、アルピーニ兵姿のマーレ将軍と大統領が中庭で話す場面などが撮影された。

  • ヴィラ・メディチ

    16世紀に整備されたローマを代表する歴史的建築。トリニタ・デイ・モンティの丘に位置し、広大な庭園とともに、現在はフランス・アカデミー・ローマの拠点として知られている。本作ではクイリナーレ宮殿の屋上として登場し、大統領が煙草を吸いながら物思いにふける場面などが撮影された。

  • イタリア科学アカデミー

    1783年にトリノで正式に設立された歴史ある科学アカデミー。数学・物理学などの研究を通じて科学の発展に貢献してきた。本作では大統領官邸内部の撮影に使用され、2つの巨大な地球儀が印象的な場面に登場する。

  • 16 世紀末に建設が始まり、歴代の教皇の夏の離宮として使用された宮殿。イタリア統一後は王宮となり、現在はイタリア大統領官邸として使用されている。本作では、大統領の公務や日常を描く舞台として、宮殿内部の多くがトリノの歴史的建造物で撮影された。

INTERNATIONAL REVIEWS

ソレンティーノ監督、円熟の到達点 ── Deadline 名優トニ・セルヴィッロ、圧巻の演技 ── The Hollywood Reporter 抗いがたいソレンティーノの魔力 ── The Times 優雅で、思索的、そして謎めいた傑作 ── The Guardian 心を奪い、深い感動を呼ぶ作品。傑作と呼ぶにふさわしい ── Le Parisien 『グレート・ビューティー/追憶のローマ』以来、最高傑作 ── Télé Loisirs 権力の孤独、そして政治の気高さを描いた、眩いほどに深遠な考察 ── Sud Ouest 簡潔かつ力強いスタイルで描かれた傑作 ── La Repubblica “迷い”の偉大なる美 ── La Gazzetta di Parma 迷いの美、道徳的ジレンマ、そして責任感 ── La Rivista del Cinematografo 『La Grazia』は、成熟と、そこから生まれる深い省察を讃える ── The Wall Street Journal 静謐さと確かな成熟を感じさせる作品 ── The Hollywood Reporter ソレンティーノが“迷いは美しいものだ”と説得力をもって示している ── The Wrapt

トニ・セルヴィッロ

トニ・セルヴィッロ 大統領マリアーノ役

1959年1月25日ナポリ生まれ。1970年代後半より演劇の世界でキャリアをスタートし、劇団テアトロ・ステュディオ・ディ・カゼルタを創設。舞台俳優として高い評価を得る一方、映画界でも頭角を現す。パオロ・ソレンティーノ監督とは長年にわたりタッグを組み、『イル・ディーヴォ ‐魔王と呼ばれた男‐』(08)で実在の元首相ジュリオ・アンドレオッティを演じ強烈な印象を残す。続く『グレート・ビューティー/追憶のローマ』(13)では主演を務め、同作はアカデミー賞外国語映画賞を受賞。さらに『LORO 欲望のイタリア』(18)では悪名高きシルヴィオ・ベルルスコーニ元首相をモデルにした役を演じるなど、権力者の内面に迫る演技で国際的評価を確立する。ソレンティーノ監督の自伝的作品『The Hand of God』(21)に続く7度目のコラボレーションとなった本作ではヴェネチア国際映画祭で主演男優賞を受賞。長年にわたるキャリアの到達点ともいえる、円熟の演技を披露している。その他の出演作品に、マッテオ・ガローネ監督『ゴモラ』(08)、マルコ・ベロッキオ監督『眠れる美女』(12)、『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』(22)、ロベルト・アンドー監督『ローマに消えた男』(13)、『修道士は沈黙する』(16)など。2020年にはニューヨーク・タイムズ紙が選ぶ「21世紀の偉大な俳優25人」に選出。現代イタリア映画を代表する名優の一人。

アンナ・フェルゼッティ

アンナ・フェルゼッティ マリアーノの娘・ドロテア役

1982年12月24日 ローマ生まれ。名優ガブリエレ・フェルゼッティを父に持つ。幼少期をドイツで過ごし、11歳で母親とロンドに移住、18歳でローマに戻り、その後、多くの映画・TV作品に出演している。

最近の出演作品は『エマの瞳』(18)、『ダイヤモンド 私たちの衣装工房』(24)など。本作では、主人公の内面に最も近い位置に立つ人物を演じ、静かな強さと知性を備えた存在感でイタリアのアカデミー賞にあたるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞助演女優賞にノミネート。夫は俳優のピエルフランチェスコ・ファヴィーノ。

オルランド・チンクエ

オルランド・チンクエ 近衛兵ラバロ大佐役

1972年4月17日 ナポリ近郊生まれ。ジェノヴァのテアトロ・スタービレ演技学校で学び、舞台を中心にキャリアを築いた後、映画やテレビへと活動の場を広げ、『イントゥ・ザ・ラビリンス』(19)、『ティアメイカー』(24)などに出演、警察官や軍人など、国家や組織に属する人物を数多く演じている。本作では、大統領のそばで常に一歩引きながら、その感情を受け止め静かに支える人物を、抑制された演技で体現している。

マッシモ・ヴェントゥリエッロ

マッシモ・ヴェントゥリエッロ 次期大統領候補ウーゴ・ロマーニ役

1957年8月4日 カンパーニャ州生まれ。ローマのシルヴィオ・ダミーコ国立演劇アカデミーで学び、舞台を中心にキャリアを築きながら、映画・テレビでも幅広く活躍してきたベテラン俳優。シェイクスピアやゴルドーニ、モリエール、ブレヒトらの古典から、現代劇まで幅広い作品に出演し、演出家としても活動している。映画では『マラケシュ・エクスプレス』(88)などに出演。本作では、トニ・セルヴィッロ演じる大統領の旧友であり、政界の同志でもあるウーゴ・ロマーニ役を演じ、長年の友情と政治的な関係性が交錯する人物を重厚に体現している。

ミルヴィア・マリリアーノ

ミルヴィア・マリリアーノ マリアーノの旧友・美術評論家ココ役

1956年、ミラノ生まれ。ミラノのアカデミア・デイ・フィロドラマティチで学び、長年にわたり舞台を中心に活躍。古典から現代劇まで幅広い舞台作品に出演し、映画やテレビにも活動の場を広げている。映画では『LORO 欲望のイタリア』などに出演。本作では、主人公マリアーノの学生時代からの親友で、美術評論家のココ・ヴァローリを演じる。自由で歯に衣着せぬ物言いと鋭いユーモアを持ち、権力者であるマリアーノにも臆することなく本音をぶつける一方、その内側にある孤独や憂いを受け止める人物を、軽やかさと繊細さを併せ持つ演技で体現、ナストロ・ダルジェント最優秀助演女優賞を受賞した。