STORY
天涯孤独な少年と、走れなくなった競走馬。
彼らは居場所を求め、希望と絶望の境を進んでいく。
それは人生という名の長い旅路―。
- チャーリー(チャーリー・プラマー)は15歳にして孤独だった。仕事を変えては転々と暮らす父親(トラヴィス・フィメル)と二人でポートランドに越してきたのだが、父は息子を愛しながらも自分の楽しみを優先していた。母親はチャーリーが赤ん坊の頃に出て行ったので、もちろん覚えていない。以前はマージー伯母さん(アリソン・エリオット)が何かと面倒を見てくれたが、チャーリーが12歳の時に父と伯母さんが大ゲンカをしてしまい、以来すっかり疎遠になった。チャーリーは寂しくなると、伯母さんと一緒に写った写真を眺めるのだった。
ある日、家の近くの競馬場で、デル(スティーヴ・ブシェミ)という厩舎のオーナーから競走馬リーン・オン・ピートの世話を頼まれたチャーリーは、食べ物も十分に買えない家計を助けるため引き受ける。素直で呑み込みが早く、馬を可愛がるチャーリーは、すぐにデルに気に入られた。
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その夜、チャーリーは男の罵声で目を覚ます。「女房と寝たろ!」と、以前父が家に泊めた女の夫が怒鳴り込んできたのだ。殴り飛ばされた父はガラス窓を突き破り、大ケガを負ってしまう。恐怖に立ちすくみ何も出来なかったチャーリーは、自らの非力さにショックを受けながらも手術を終えた父に「ごめん、助けてあげられなくて」と謝り、マージー伯母さんの電話番号を教えてほしいと頼むが、「人の手は借りない」と跳ね付けられる。
唯一の家族であり、予断の許されない状態の父の傍を離れるのは怖かったが、入院費を稼ぐためにピートの遠征に付き添うチャーリー。騎手のボニー(クロエ・セヴィニー)からは「馬を愛しちゃダメ。競走馬は勝たなきゃクビよ」と忠告されるが、今やピートはチャーリーが唯一心を許せる存在だった。翌日、仕事から病院へ戻ると父の姿がない。容体が急変して亡くなったという。引き取り手の居ないチャーリーを心配し、養護施設に連絡しようとする医師を振り切り、彼はピートの厩舎へと走る。 -
だが、老いたピートの競走馬としての寿命も尽きかけていた。レースに惨敗したピートを、デルは売り払うと決める。それは殺処分を意味していた。今度こそ自分の手で友を助けると決意したチャーリーは、ピートを乗せたトラックを盗み、かつてマージー伯母さんの住んでいたワイオミングを目指して逃走する。
やがてトラックがエンストを起こし、ピートを連れて荒野へと分け入るチャーリー。日中は黙々と歩き続け、夜には野宿し、父から聞いた母のこと、楽しかった学校生活やマージー伯母さんとの思い出をピートに語り続けるチャーリー。けれども現実は厳しく、チャーリーはあまりに非力だった。残酷にもチャーリーを襲う再びの別れ。チャーリーは孤独を抱きしめ、愛と居場所を求めてひたすら前へと進んでいくが─。