
美術界に潜む闇と巨額の取引の
実態を生々しく暴いていく
ミステリー小説を超えた欲望まみれの
ノンフィクションムービー!

タイトルはラテン語で「世界の救世主」を意味し、500年前に描かれたレオナルド・ダ・ヴィンチの最後の作品とされ、イエス・キリストを描いた肖像画とされる。描かれたのは1500年頃とされているが、長らく行方不明となっていた。その目は私たちを見つめており、片手の指は交差され、もう片方の手は透明の水晶玉を持っている。
美術史上最高額の約510億円で落札された同作は、落札当時から落札者をめぐって様々な憶測を呼んでおり、いつ一般公開されるか注目が集まっているが、現在の所有者や所在地はいまだ謎に包まれている。
1500年頃
フランスのルイ12世のために描かれたと言われている
1600年代
イングランドの王室コレクションの目録に記録される
1900年
英国の美術収集家が購入した時に再び世に現れる
1958年
45ポンドでアメリカの実業家に売却される
※傷みが激しく、破れ、所々修復されており、塗料の状態も悪く、色あせており、「ダ・ヴィンチの弟子のひとりによる複製のその後のさらなる複製」と考えられていた。
2005年
米美術商ロバート・サイモンらが、わずか1175ドル(約13万円)で購入
2006~07年
著名保存修復士により修復作業を進め模写ではなく原画である可能性が浮上
2008年
ダ・ヴィンチの権威である研究者たちがロンドンのナショナル・ギャラリーに集まり調査した結果、本物のダ・ヴィンチ作品であるという結論に
2011~12年
ロンドン・ナショナル・ギャラリー「L・ダ・ヴィンチ展」にて新発見の真作として披露
2013年
スイス美術商イブ・ブービエが8000万ドル(約100憶)で購入
その後ロシアの大富豪ドミトリー・リボロフレフへ1億2750万ドル(約157億円)で売却(2人は不当な売値として長年裁判で争う事に)
2017年
ドミトリー所有の本作は、世界各国で展示された後、オークションにて世界最高額の4億5000万ドル(約510億円)にて取引され、売却される。落札者は発表されなかった。
2018年
アブダビ文化観光省が本国ルーブル美術館のために購入したとされていたが、展示はなかった。それどころか、「アブダビ文化観光省」という機関は実際には存在しないことが判明。
2019年
パリルーブル美術館が、ダ・ヴィンチ没後500年記念の展示会での出品を交渉するも成立せず。この交渉を最後に、現在に至るまで絵画の所在ははっきりしていない。
アントワーヌ・ヴィトキーヌ
Antoine Vitkine
1977年フランス出身。ドキュメンタリー映画監督かつジャーナリスト。
パリ政治学院を卒業し、国際関係学で修士号を取得。その後、ジャーナリストとして活躍。
2001年以降、大手フランス放送局製作の23本のドキュメンタリー作品の監督を務め、そのほとんどが世界各国のテレビ局で放送される。特に有名な作品に『Qaddafi, Our Best Enemy(英題)』(2012年に最も海外に輸出されたフランスのドキュメンタリーとして受賞)、ヨーロッパにおける極右大衆迎合主義を捉えた『Populism, Europe in Danger(英題)』、著名な文学賞についての作品『Goncourt : faites vos jeux(原題)』、『The Forgotten Slave(英題)』、サルコジとカダフィの関係についての『The President and the Dictator(英題)』、『Magda Goebbels, First Lady of the Third Reich(英題)』、『Putin’s Revenge(英題)』、『November Paris Attacks(英題)』、『Bashar. Master of the chaos(英題)』、そして最近では『MBS, Prince of Arabia(英題)』がある。
他にも、11カ国語に翻訳された『ヒトラー『わが闘争』がたどった数奇な運命』(永田千奈訳/河出書房新社刊)など、3冊の書籍も執筆している。
原題:The Savior For Sale/100分/フランス映画/カラー/
ヴィスタ/5.1chデジタル/
字幕翻訳:松岡葉子