ストーリー
とある東北の、小さな街の駅のロータリー。タクシーが数台、客待ちで駐車している。
タクシードライバーの遠藤(冨家ノリマサ)と竹ちゃん(谷田真吾)は、駅から出てくる帰宅客を眺め、最近タクシードライバーの間で噂になっている話をしていた。「夜遅く浜街道流してっと、若い大学生くらいの子がポツンと立ってるんだって‥‥‥」竹ちゃんの話を一笑に付す、遠藤。
竹ちゃんと別れた遠藤はひとりタクシーのハンドルを握り、閑散とした夜の住宅街を流していた。
ふとライトが、人気のない深夜の県道脇に立ちタクシーを止めようと手をあげる若い女性(岩田華怜)を照らし出す。そして何もない荒廃した路上に突然現れた、小さな女の子と母親の二人連れ。
3人と秘密をのせたタクシーがたどりつく先にあるものとは―――。
プロダクションノート
キャスティングについて
NY在住で宮城出身の堀江監督が、震災を題材にした映画の主人公を探しているという噂をきき、「私がやるしかない」と思い、ぜひやりたいとオーディションに臨んだという岩田華怜さん。東日本大震災後にAKB48 のオーディションを受けて、家族と別居し模索しながら活動を続けてきた部分もあり、「父親との関係性を自分がどう消化して、みずきという役を自身にどう投影しながら演じられるのか、楽しみだった」という。NYから日本に帰国した際、岩田さんの演技を見た監督は、「そこには、みずきがいました。」とみずき役を岩田さんに即決したといいます。「岩田さんがアイドルから違う何者かに変わろうと、必死でもがき苦しんでいる姿で、それが内面で苦しむ みずき と被って見えたのかもしれません。」
また、メジャー作品でも豊富な経験を持つ撮影を担当してくれた佐々木さんが撮影してくれると決まったこと、冨家さんをはじめとした最高のキャストが揃ったことで「素晴らしい作品となることを確信した」そうで、 実際、撮影した映像をつないだ際には、撮影のすばらしさと、キャストやスタッフの皆さん、そしてここまで頑張ってきた東北の皆さんの協力への想いが溢れ、涙が止まらなかったそうです。
海外での高い評価
多くの映画祭で高い評価を得ていることに監督は「宮城のみんなの思いをストレートに受け取っていただけている実感があって嬉しいです。岩田さんをはじめ冨家さんや撮影クルー、協力してくれた多くの方々の姿を思い出し、本当にみんなでここまで来たんだという気持ちが湧いてきました。映画として、大成功だったと思います。」と声を震わせた。
卵おにぎり
この映画の中で、重要なシーンごとに登場する「卵おにぎり」。
実は、この映画のきっかけはこのおにぎりにあったといいます。
宮城県の震災復興の一つとして宮城県の物産である米や海苔などを、この映画を通して世界に紹介するきっかけづくりにできないかという思いから、この映画の企画がスタートしたからです。実際、ニューヨーク、シカゴ、サンタフェ、ロスアンジェルス、ボストンでの映画祭や上映会で、監督自ら握ったおにぎりを来場頂いた皆様に食べて頂き、大変喜んで頂いたそうで、監督のお母様がご存命だったことにおしえてくれたなつかしい「おふくろの味」だそうです。
■レシピ
材料:ご飯、卵、海苔、塩、醤油
1.溶き卵にお醤油を多めにいれ、ざっくりとかき混ぜる。
*お醤油が少ないとご飯のおかずにならず、ちょっと物たりなくなります。
2.フライパンにサラダ油をひき、1を焼く。ちょっと焦げ目がついたら追い醤油をかけて、焼き醤油の香りがたつくらい少しだけ焼く。
3.炊いたご飯にその卵を真ん中にいれて、握る。
*焼き卵の分量は、おにぎり一個(ご飯一膳分)に対し卵1/3個の目安です。
4.おにぎりに軽く塩を振り、海苔でまく。