STORY
「今の警察は馬鹿ばっかだ」
とボヤく、成瀬司(阿部寛)、55歳。犯罪捜査一筋30年の鬼刑事で、一言目には「コンプライアンスの遵守」と行動を制限してくる上層部と何かとぶつかっていた。部下の坂本(磯村勇斗)も、「昔と今は違うと思います」と時おり反抗的だ。
世間は今、アポ電強盗事件に揺れていた。お年寄りの一人暮らしを狙って、警察を騙った電話で現金の在りかを聞き出し、宅配業者を装って鍵を開けさせるという卑劣な手口だ。主犯に心当たりがある成瀬は、その男の手下と睨むチンピラの西田を令状も無しに締め上げ、坂本から「先輩がやっていることは、違法行為です」と非難される。
成瀬は母親の幸子(倍賞美津子)と二人暮らし。最近、母の物忘れがひどく、離婚した元妻と暮らす一人娘の法子(見上愛)が時々、「大好きなおばあちゃん」の世話をしに来てくれる。だが、仕事漬けの父親には反抗的で、高校の文化祭におばあちゃんを連れて行くという約束を忘れたことに激怒される。
世間は今、アポ電強盗事件に揺れていた。お年寄りの一人暮らしを狙って、警察を騙った電話で現金の在りかを聞き出し、宅配業者を装って鍵を開けさせるという卑劣な手口だ。主犯に心当たりがある成瀬は、その男の手下と睨むチンピラの西田を令状も無しに締め上げ、坂本から「先輩がやっていることは、違法行為です」と非難される。
成瀬は母親の幸子(倍賞美津子)と二人暮らし。最近、母の物忘れがひどく、離婚した元妻と暮らす一人娘の法子(見上愛)が時々、「大好きなおばあちゃん」の世話をしに来てくれる。だが、仕事漬けの父親には反抗的で、高校の文化祭におばあちゃんを連れて行くという約束を忘れたことに激怒される。
そんな中、本部長の五十嵐(光石研)から、異動辞令を言い渡される成瀬。「音楽隊に行ってほしい」と言われて耳を疑い、音楽などできないと拒否するが、子供の頃の和太鼓歴を指摘される。「ちょっと上に楯突いただけで?」と詰め寄ると、五十嵐はハラスメント対策室に届いた、「成瀬に対して精神的圧迫を感じている」という投書が理由だと答える。
バスに乗って辿り着いたのは、緑に囲まれた田舎町。ボロボロの小屋が音楽隊の事務所で、隣の教会が練習場だ。自動車警ら隊と兼任するサックスの北村(高杉真宙)は元刑事志望で、音楽はまるでやる気がない。子育てと交通課の仕事と両立する春子(清野菜名)は、威圧的な成瀬を敵視する。交通機動隊で成瀬の指導係の広岡(渋川清彦)はパンク狂い。成瀬は、刑事課では会ったことのないはぐれ者たちの群れに迷い込んだと気付き、愕然とするのだった。 テレビのニュース速報で、新たなアポ電強盗事件の発生を知った成瀬は、捜査本部の会議室に駆け込む。坂本から「先輩は、もうここの人間じゃないんです」と事実を突きつけられ我に返るが、主犯と信じる男の写真を見せ、「西田を張れ」と力説する。その情報と共に刑事としてのキャリアを完全に否定された成瀬はガックリと肩を落とし、失意のまま帰っていく。
バスに乗って辿り着いたのは、緑に囲まれた田舎町。ボロボロの小屋が音楽隊の事務所で、隣の教会が練習場だ。自動車警ら隊と兼任するサックスの北村(高杉真宙)は元刑事志望で、音楽はまるでやる気がない。子育てと交通課の仕事と両立する春子(清野菜名)は、威圧的な成瀬を敵視する。交通機動隊で成瀬の指導係の広岡(渋川清彦)はパンク狂い。成瀬は、刑事課では会ったことのないはぐれ者たちの群れに迷い込んだと気付き、愕然とするのだった。 テレビのニュース速報で、新たなアポ電強盗事件の発生を知った成瀬は、捜査本部の会議室に駆け込む。坂本から「先輩は、もうここの人間じゃないんです」と事実を突きつけられ我に返るが、主犯と信じる男の写真を見せ、「西田を張れ」と力説する。その情報と共に刑事としてのキャリアを完全に否定された成瀬はガックリと肩を落とし、失意のまま帰っていく。
数週間後、漁港で開かれた市民フェスティバルでの演奏は、成瀬を筆頭にメチャクチャ。指揮者の沢田(酒向芳)は、列席した知事から「税金の無駄遣いだ」と責められる。帰宅した成瀬に、忘れ物を届ける春子。警察手帳を忘れるという言語道断のミスを犯して、激しい自己嫌悪に陥る成瀬の弱い姿を見た春子は、「音楽と同じですよ。ミスしてもまわりがカバーすればいいんです」と声をかける。
翌日から、成瀬は吹っ切れたように、ドラムの練習に打ち込む。すると、隊員たちも感化されて、音にも心にもハーモニーが生まれていく。音楽隊のファンだという品のある女性・村田ハツ(長内美那子)が、成瀬の音には「勇気をもらえる」と応援してくれる。
新たな居場所を見つけた成瀬だったが、例の知事から話を聞いた五十嵐が「音楽隊は次の定期演奏会を最後に廃止する」と宣言。果たして、成瀬たちは音楽隊を守ることができるのか?