この度、スペイン・バスク地方で開催中の第66回サン・セバスチャン国際映画祭(開催期間:9月21(金)~29日(土))にて、是枝裕和監督に、俳優または監督に送られるもっとも名誉ある賞で、生涯功労賞にあたる<ドノスティア賞>が贈られ、日本時間9月24日(月)に授賞式が行われました。これはアジア人初の快挙となります!
是枝監督が現地入りした9月22日(土)も、映画祭会場前にはファンが詰めかけ、是枝監督が到着するや「Kore-eda!!」のコールが起こり、サイン&写真攻めに。20年来の親交がある映画祭、そして常に観客を大事にする監督ならではの笑顔で、快くサインや写真撮影に応じており、改めて海外でも人気の高さをうかがわせました。
日本時間9月24日(月)3時半(現地時間9月23日(日)20時半)に行われた授賞式に、是枝監督が登壇。先ずトロフィーを受け取ると、場内はスタンディングオベーションと割れんばかりの拍手に包まれました。これまでの作品映像がダイジェストで流れ、是枝監督作品には欠かせない女優、樹木希林さんの姿を目にした監督は、スピーチでも思い出を語りながら涙ぐみ、追って登壇したリリー・フランキーさんがそっとハンカチを受け渡す場面も見られ感動的な授賞式となりました。
© Festival de San Sebastián. Photo Montse Castillo.jpg
【日本時間9月24日(月)3:30~4:00<授賞式全スピーチ>】
◎是枝裕和監督
歴代の偉大な受賞者の映像を見ていたら、自分がもらうのは本当に早すぎたと、舞台袖で急に緊張してきて、ああどうしようと出ていくのに困っていました。その後に、僕の作品を色々編集していただいて(つなげてくださった映像をみていたら)、この20年、自分がやってきたことをこう振り返って、特に2年前に『海よりもまだ深く』という映画で樹木希林さんとこの映画祭を訪れることができて、とても楽しい時間を過ごして。この10年、役者と監督という関係を越えて、パートナーとして映画を作ってきた方なのですが、彼女がついこの間亡くなられてちょっとそのことが、どうしても、ついよみがえってくるので、(受賞は)嬉しいのですが、ちょっと悲しくなって泣いています、ごめんなさい。
最近は作るたびに、この映画祭に呼んでいただいて、すごくサポートしてくれるスタッフにも恵まれて毎年のように映画を作れてここを訪れることができて。本当に素晴らしい映画祭だからどんどん参加する方たちが増えてきて、今回も凄くたくさんのメンバーに支えられてここにきているのですが、僕が毎年映画を作れるのは、僕の映画が好きな以上に、毎年この映画祭に来たからなんじゃないかな、と思うくらい、毎年みんながこの映画祭に来たがっています。
この映画祭に参加してから20年たちまして、本当に映画祭と監督の関係というのは恵まれますと、本当に、映画祭と集まってくる観客の方たちに作り手たちは育てられていくんだなと、本当に身にしみて感じており、ここに並んでいるお2人に僕は本当にはげまされ育てられてきたなあと思っています。希林さんとはもう来ることができないですが、希林さんに教えられたことがたくさんあるので、また若いスタッフ・キャストと一緒にここにまた呼んでいただけるように。生涯功労賞は、僕はまだキャリア半分であと20年は作ろうと思っているのですが、生涯功労賞というのは生涯でたった一度だけなので2度目はないと思いますが、ちょっと早かったかもね、と言われるくらい、ここからの20年はいい映画を作って、皆さんの前に届けたいと思っております。有難うございました。
◎リリー・フランキー
是枝さんを愛してくださって有難うございます。
また素晴らしい賞をもらったことを誇りに思います。
有難うございます。