では、監督はこの映画をなんと形容、表現しますか?
若い女性が、一人の人間になるまでの過程を描いたヒューマン・ストーリー。自分らしい自分でいることの恐怖。でも映画の枠組みとしてはファンタスティック映画だから、ロマンティック・スーパーナチュラル・スリラーと呼ぶね。それがなにかはわからないけど(笑)。僕は、コラボレーター(共同脚本のエスキル・フォクト)と僕が生み出したストーリーを語っているだけだから。映画を客観的に外側から見ることはできないんだ。
さきほど『キャリー』や『フューリー』のデ・パルマ監督の名前が出ましたが、他にもホラー映画やジャンル映画から影響を受けていると思いますか?
デ・パルマからは多くのインスピレーションをもらったね。あとは僕が生まれ育ったノルウェーの昔の寓話(フェアリーテイル)。森に秘められた神秘とか、自然、動物。そういったものも『テルマ』の一部になっている。だからこの映画はアメリカのポップアート、デ・パルマとかトニー・スコット監督の『ハンガー』、デヴィッド・クローネンバーグの『デッドゾーン』を組み合わせているんだよ。あとはノルウェーの魔女についての伝承とかも。魔女は必ずしも邪悪である必要はない。善き魔女もいるからね。抑圧された女性の物語は描きたくなかったんだ。それよりももっとパワーに満ちたストーリーを描きたかった。この映画は色んなものからインスピレーションを得たよ。