エンディングは観る人によって様々な解釈ができます。
そうだね。本国のノルウェーでも、「なんて美しいハッピーエンドなの」という人もいれば、「なんてダークなエンディングなんだ」という人もいて、反応が様々なんだ。この事実を気に入っているよ。だから自分の考えは言いたくないかな。観た人に自分で感じてほしいからね。願わくば、その解釈が観客それぞれを反映する鏡になればと思う。
では、この映画の核、本質とはなんでしょう?
ダークな映画的空間における実際的な体験。自分が観たものがなんだったのかを説明せずに、すべての映像やサウンドから得た自分の感情をさらけ出すことができる作品。僕は監督であり観客の知らない秘密を知っている。言葉で説明できること以上の秘密をね。(映画が)好き、好きじゃないという意見には興味がない。映画を感じること、映画を体験することに興味がある。僕にとってそれが素晴らしいことだ。それが僕の夢だね。
息を呑むような素晴らしい映像の数々も印象的でした。
撮影監督はスウェーデン人のヤコブ・イーレ。彼は僕の全作品の撮影監督なんだ。彼は素晴らしいよ。今回は、今までと違うレンズを使ってみたんだ。初めてシネマスコープレンズを使ったんだよ。この映画では閉所恐怖症的でありつつ、同時に壮大な映像を撮りたかった。漫画ではよく使われる手法だよね。例えば、大友克洋の漫画「童夢」。子供や人間など小さなキャラクターと巨大なビルがシンメトリックに描かれている。あの手法にはインスパイアされたね。大友克洋も今敏もこういう技法に長けている。君が日本人だから言ってるわけじゃないよ。本当にそうなんだから!
Text by 小林真里