COMMENT

絶賛の声、続々!

順不同

松浦弥太郎さんエッセイスト

「あのときと今は違う」
その言葉だけが、いつまでも耳の奥に残響している。
誰もが胸に秘めた、あの日あのとき。
決して語り尽くせぬその記憶は、恐ろしく、悲しく、
そして美しい。
摩訶不思議という後味に、ひとり立ちすくむ自分がいる。

UAさんアーティスト・歌手

ただひたすら人間を克明に描いた『遠い山なみの光』。
すべてにおいて秀逸で、若き石川慶監督の才能が光る、日本が誇る映画です。
今年は戦後80年。私が受けた衝撃と感動を一人でも多くの人たちとシェアしたいです。

小川洋子さん小説家

本作を観ると原作を手に取りたくなり、誰かと語り合いたくなります。
答えのない問いに向き合う、静かで深い時間を味わうことができる作品ならではの楽しみ。
言葉では尽くせない余韻が長く心に残ることでしょう。

アオイヤマダさんパフォーミングアーティスト

ぽつりとはしっこに座っていた冷たい記憶に温かいお茶を淹れてくれて、
無邪気にはしゃぐ運命も抱きしめたい存在だと思うことができ、暗闇の中の葛藤が光に向かって走り出した。
古いかさぶたがポロリととれました。

森崎ウィンさん俳優・アーティスト

衝撃的な真実に、天井を見上げたまま込み上げる涙とともにしばらく動けずにいました。歴史を輝かせる色彩豊かな映像美の中に、生き抜くための嘘が見え隠れする。現代を生きる僕らはその真実に目を背けてはいけない。80年という月日がこれからも途切れぬよう、守っていかなくてはいけない。最後に、石川慶監督の作品の中でピアノの音色が響くと、どこか安心する自分がいました。

ブレイディみかこさんライター

女性であること、そして異邦人として生きること。その悲しさと強さ、軽やかさとしたたかさが胸に沁みた。
これもまた、永く残るだろうシスターフッド映画だ。

染井為人さん小説家

人の生は時代の影響を免れ得ない。翻弄され、虚構にすがるほかなかった、ひとりの女。彼女の在りようを前に、わたしは改めてあの時代の苛烈さを思う。

高橋久美子さん作家・作詞家

原爆による心の傷は終戦後も人々を蝕み、同じ土地に暮らす者同士、さらには自分自身のアイデンティティにも分断を生んでしまったのだと感じた。彼女たちの戦争は終わっていない。そして、その延長に私達が生きている。

伊藤まさこさんスタイリスト

湿った空気と乾いた空気が綯い交ぜになって紡がれていく。
忘れることのない、忘れてはならない物語。

小林エリカさん作家・アーティスト

物語るときに生まれる嘘と、真実と、恐ろしさと、美しさとが、映像の中で幻想と現実の合間に捉えられていて、ふたたび物語に出会いなおすことができた。

小原晩さん作家

抗えなくとも人生はつづいてゆく。にぶい光を、ただこぼしながら。

辛酸なめ子さん漫画家・コラムニスト

不穏な噂や怯える少女……ノスタルジックで美しい映像の陰の部分に不思議と引き込まれます。
都市伝説の要素が芸術に昇華されたことにも感動がこみ上げました。

中田くるみさん俳優

虚構と現実、しかもそれは生々しい現実。
戦後の長崎を生きた彼女たちの眼差しの奥にあるもの、それをどうにか読み解こうとしても、理解しようとしても、全てを解ることなんて到底できない。
自分の中で折り合いのつかない、どうしても美化できない部分がヒリヒリと焼けこげるような気持ちになった。

ISOさんライター

「戦争、原爆、家父長制に蝕まれた私たちは、どうすれば自由に生きられたのか」。
朧げに揺れる記憶の窓から傷だらけの過去を覗くその時代が、彼女たちにとって安寧の日々となるよう願うほかなかった。

よしひろまさみちさん映画ライター

2つの時代、2人の女性を通じて浮き彫りになる、自分らしさの追求の難しさ。
戦後80年。第二次世界大戦終戦の月に、カズオ・イシグロの名著が石川慶監督の匠の技で巡ってきた運命を感じざるをえない。

DIZさん映画アクティビスト

戦争と原爆の傷跡を直接描かないからこその重みと痛みが心に突き刺さる。
未来を信じ、前に進み続けた人々が令和を生きる私たちに希望を託す、過去と現在をつなぐ物語の余韻に息を呑む。
戦後80年のいま、観るべき一作。

𝐒𝐞́𝐚(ヨダセア)さん

心を引き裂くトラウマ、抑圧された自我、拭えない罪悪感。
気づけば止まってしまった時間が、“語ること”によって動き出す。
遠く淡くても光は差すんだ。
傷心と再出発、言葉が辿る旅路を歌う挿入歌「Ceremony」(New Order)が後になって力強く効いてくる。

茶一郎さん映画レビュアー

時に美しく、切なく、恐ろしく。
激動の戦後を舞台に、変わる者と変われぬ者が交錯する人間ドラマは、やがて心の闇へと引き込むミステリーへと変貌します。
人生への贖罪と後悔に寄り添うように差し込む「山なみの光」が、自分の人生さえも優しく照らしてくれる気がしました。

ジャガモンド斉藤さん映画紹介人・お笑いコンビ

静かな映画なのに1秒たりとも目が離せない!
疑問に思っていたことが、徐々に明かされていく構成が素晴らしい。
特に、緒方誠ニ役の三浦友和さんのパートがゾッとしたし、泣いてしまった。
ネタバレ厳禁!あまり情報を調べずに映画館に直行してください。

松崎健夫さん映画評論家

まるで誰かの記憶や思い出を覗き見るかのように、柱・壁や窓枠が映像の中にもうひとつのフレームを構築させている。それは、私たちがある時代を生きた女性の記憶の断片と断片とを繋ぎ合わせながら観ている所以だ。

守鍬刈雄さん映画独自解説家

傑作だった!
映像は静か。だが内側のざわつきによって引き込まれる。
戦後長崎で交錯する新妻と未亡人。
30年後のイギリスで核心に迫る母と娘。
これまで彼女を守っていた〈嘘〉がついに暴かれる。
広瀬すずと二階堂ふみの掛け合いに目が離せない。
ふたりの間に〈何か〉があるから。
見終わった瞬間の心のざわめきが忘れられない。

沖田遊戯さん芸人・映画YouTuber

ある時代の話から、ある家族の話となり、ある女性の物語へ絞られていくヒューマンミステリー。
淡々と語られる繊細で美しい記憶の中に静かに立ち込める戦争の傷跡を映画という虚構の中に閉じ込めた傑作。観たあと暫くこの作品の中に取り残されてしまった。

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