200年前の女性作家と
現代の女性監督に通じるもの
ベアーは監督に意図的に女性を選んだ理由は、「物語のテーマとメアリーの経験が、女性特有のものだったから」だと説明する。モロニーは、「ハイファは男女同権の欧米とは違うサウジアラビアで成長してきたから、アーティストとして自分の声に耳を傾けてもらうには、メアリーのように、戦い、葛藤しなくてはならなかった。ハイファと200年前のメアリーの経験の間には、非常に明白な共通点があり、そのためこの作品は現代にも大きく反響するはずだ」と解説する。マンスール監督は、この映画を引き受けようと決めたのは、メアリーと心が通じたからだと話す。「本作は、自分を取り巻く慣習からなんとか解放されるために、自身を見つけようとしながら成長する若い女性の物語よ。舞台は英国で、私はサウジアラビアの出身だけれど、主人公にとても共感したの。一瞬にして物語と繋がることができたわ。私が感銘を受けたのは、彼女がSFというジャンルを生み出したことよ」 リサーチを進めたマンスール監督は、メアリーの人生経験が「フランケンシュタイン」にいかに強く投影されているかを知り、驚いたと語る。「小説の中に、パーシー・シェリーや両親との関係から受けた影響のすべてを見ることができたわ。メアリーは著名な作家である両親の陰に埋もれず、思い通りに生きていくために闘い、想像を絶するほどの喪失と悲哀を経験した。メアリーの人生の悲しい出来事が、怪物に反映されているのがわかり、胸がいっぱいになったわ」