INTRODUCTIONイントロダクション

2万年前、すべてが凍てつく極限の氷河期。
そして1万年前、その寒波の呪いは終わりを迎え、
緑は芽吹き、森は金色に輝き、生命の季節が到来する。
この地球に生きるものの等しく悠久の時間―
『オーシャンズ』製作陣が描く、全く新しいネイチャードキュメンタリー。

『WATARIDORI』で画期的な手法で鳥との並飛行に成功し、『オーシャンズ』で世界の海のすべてを魅せてくれたジャック・ペラン＆ジャック・クルーゾのコンビが、ネイチャードキュメンタリーの新たな扉を開けた。今回挑んだのは、時空を超えた生命の歩み。動物から見たこの地球の歴史も、人類の歴史同様、壮大で生々しく、波乱に満ちていた。ときに残酷で暴力的、ときに穏やかで優しく、ときに面白おかしい。
総製作費40億、構想4年、400人もの最高のスタッフが最新の撮影機材、各種テクノロジーを駆使し、歴史学、動物行動学、人類学、哲学、民俗学、植物学ら多くの学者と共に感動的なストーリーを紡ぎだした。

世界初の無音電動バギーの開発により、ウマやオオカミやイノシシと同じ目線で、臨場感溢れる狩りの疾走に肉薄し大地を駆け巡り、『WATARIDORI』で開発したマイクロライトプレーンのさらなる改良により、ガンの群れと共に大空を遊泳する。さらに、動物行動学に綿密に基づいた効率的かつ緻密な撮影技法で、すべての野生動物の行動をありのままに、強い子孫をのこすためのウマやクマのオス同士の命懸けの死闘や、メスシカの感動の出産、鳥たちの愛情溢れる子育て、稀少種の貴重な生態も接写、動物たちの感情の細かな機微までも雄弁にカメラに収めることに成功した。

およそ１万年前、太陽をまわる地球の軌道が変化し、気温が急上昇。氷河期が終わり、新たな生命が芽吹き始める。見渡す限りの緑の森、自由を謳歌する動物たち、響き渡る鳥のさえずり、その歌声に合わせ口笛を吹く少年。人類も、動物たちと等しく生きる森の住人だった。厳しい氷河期から2万年という悠久の時間、そこで懸命に生きる生命をドラマティックに描いた感動の旅。ここには、この地球のすべての生命の希望に満ちた未来がある―。

本作の最大の挑戦は、人類と動物たち、自然の時空を超えたタイムトリップに乗り出すことだ。
それは、動物たちへの共感に満ちたドラマティックな叙事詩であり、
観る者に大いなる感動をもたらしてくれる。― ジャック・ペラン、ジャック・クルーゾ〈監督〉―